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内視鏡システムの機能向上が耳鼻咽喉科診療にもたらすメリット【前編】画質向上とNBIがもたらす耳鼻咽喉科診療の質向上
はじめに
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京都大学大学院医学研究科 大森 孝一 先生
近年の耳鼻咽喉内視鏡システムには、高画質化やNBI搭載を含む機能向上が進められてきました。それらによって、耳鼻咽喉科診療にもたらされているメリットについて、長年にわたって同分野を牽引してこられた京都大学大学院医学研究科の大森孝一先生にお話を伺いました。
本インタビュー記事の情報は掲載日時点の内容となります。そのため、最新の情報と異なる場合がございます。
01耳鼻咽喉科領域における内視鏡の検出能・診断能の向上
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耳鼻咽喉科領域の内視鏡は、1990年代から電子内視鏡の普及が進んだことで、それまで使用されていたファイバースコープよりも観察画像の画質が大きく向上しました。その後も解像度や明るさの向上によって高画質化が進み、さらに2000年代にはNBI搭載の内視鏡システムが耳鼻咽喉科領域でも使われるようになったことで、2010年代頃からは、病変の正確な内視鏡診断に十分な観察性能が実現されていると感じています。
高画質化は微小な病変の検出能向上をもたらしており、癌、白板症を含む前癌病変、声帯結節などについて、微小なものでも検出可能となってきています。また、NBIにより、中咽頭、下咽頭、喉頭の癌や乳頭腫などの腫瘤性病変について、早期の段階で検出し、診断することが可能となってきていると感じています。
02病変の早期発見の実現と治療予後の向上
このような内視鏡の検出能・診断能の向上は、病変の早期発見・診断によって早期治療を可能にし、治療予後の向上にも結びついていると言えます。病変切除を要する場合でも、早期発見によってより小さい切除範囲にとどめることが可能となり、より機能温存を図れるようになっていると考えられます。例えば、下咽頭病変では切除後の嚥下機能をより温存できるようになってきていますし、声帯病変では切除後の発声障害をより軽度に抑えることが可能になってきていると思います。加えて、咽頭癌や喉頭癌に対する内視鏡手術がこの10年程度で急速に広まっており、多くの施設で導入されてきていることも、治療予後の向上に寄与していると考えています。

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