看護記録機能を活用した記録の正確化と業務効率化、
それによる医療の安全性の向上を目指して
金沢医科大学病院の内視鏡センターでは、上部・下部消化管内視鏡と胆膵内視鏡を中心に、年間約9,000件の検査と約300件の侵襲度の高い治療を実施しています。同院では、2023年1月にSolemio ENDOからSolemio QUEV(以下、QUEV)にリプレイスし、同年7月に看護記録機能が本格的に稼働しました。 同システムを活用した記録の正確化と業務効率化、それによる医療の安全性の向上を目指すための取り組みについて、 消化器内視鏡学 臨床教授/内視鏡センター長の北方秀一先生と、看護師の舩本昌枝様と稲荷清美様にお話を伺いました。

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正確な記録と安全な医療のために
~Solemio QUEVリプレイスと看護記録機能の導入~
金沢医科大学 消化器内視鏡学 臨床教授/内視鏡センター長 北方 秀一 先生
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QUEVへのリプレイスの決め手の1つに、看護記録のシステム化がありました。当院の内視鏡検査の看護記録は、以前は紙カルテでしたが、看護師から看護記録業務を効率化し、正確性も担保できるシステムを導入したいとの声がありました。看護記録はヒヤリハット事例の検証においても重要な記録であり、しっかりと検証を行うことで医療事故の防止にもつながります。こういった考えや要望を、リプレイス検討時にオリンパスに相談したところ、内視鏡検査に適した看護記録やバイタルの自動登録が可能な、QUEVの看護記録機能の活用提案がありました。結果的にQUEVの看護記録機能を使うことでこれらを実現できると思い、看護師の意見を尊重しながら導入を進めました。
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侵襲度や緊急度の高い内視鏡検査・治療では、看護師は診療補助や介助で忙しいため看護記録は検査後に記載せざるを得ないケースが多くありましたが、QUEV導入後は検査中に簡便に看護記録の作成が可能となり、看護記録業務の効率化になるとともに、記録の正確性の向上にもつながっていると思います。また、検査中の看護記録業務がコンパクトになった分、医師から看護師に指示や声かけできるタイミングが増えました。さらに、内視鏡検査中に看護記録が完結することにより、1日トータルの内視鏡時間の短縮や残業時間の削減につながっています。
QUEVの看護記録機能による看護記録やバイタルの自動登録に加え、当院では内視鏡検査中の患者全員分のバイタルをスタッフステーションで一括モニタリングできるセントラルモニターを活用しています。ステーションにいるスタッフもバイタル変化に気づきやすく、内視鏡室の様子がわかるため、安全面と業務効率化の両方で有用だと思います。
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正確に効率的に記録を作成し より安全な内視鏡センターとなるように
看護師長 舩本 昌枝 様 / 看護師 稲荷 清美 様
記録の正確化と業務効率のために
看護記録機能を導入
当院の内視鏡センター全室にバイタルモニターが設置されることを契機に、バイタル情報の記録と内視鏡検査の看護記録の運用を包括的に見直し、内視鏡検査に適した看護記録システムの導入検討を進めました。
それまでの看護記録の運用は、経時記録(電子カルテへの入力)や紙媒体の検査経過表に記録したものをスキャンし、保管していました。検査中は検査介助に注力が必要なため、看護記録は検査終了時に完成できず、その日の内視鏡検査後に検査内容を思い出しながら仕上げることが日常的でした。これらの状況を踏まえ、QUEV看護記録機能とバイタル連携機能を導入しました。
なお、導入にあたり看護記録で使う用語やスコアをマスタ化する準備は必要でしたが、マスタの整合など簡易な対応で終えることができました。
ワンクリックで正確に入力、
省力化で残業時間の削減にも
QUEVの看護記録機能とそのバイタル連携機能は、記録の正確性と業務効率化の点で有用であると思います。看護記録機能では、マスタ設定した項目であればワンクリックで記録できるため、リアルタイムかつ簡便に処置内容や使用薬剤を記録できています。記録ミスや記録漏れは重症例や緊急症例でもほとんどなく、ベテランでも新人でも質の担保された記録を作成できています。定型文言だけでなくフリーコメントも入力できます。急変時は必要に応じてフリーコメントで特記事項を残す運用も可能であり、通常時も患者さんの様子や鎮静効果を記録でき、前回の記録をもとに患者さんへの声かけや薬剤調整に役立てることができます。手書きではないため文字の判読ミスはありません。結果として、各内視鏡検査終了時に記録が完成しているため残業がほとんどなくなり、内視鏡検査間の時間短縮にもつながっています。
QUEVへの入力操作に慣れるまでは項目自体の選択漏れがありましたが、何回か経験することでほとんどなくなり、現在は記録者全員が一定の質を担保できていると思います。
バイタル連携導入前は、検査介助中に測定と記録を並行して行うため、記録が遅れることもありました。導入後はSpO2、血圧、脈拍などが自動入力されるため、タイムリーな記録につながっています。また、血圧計を自動測定モードにしているため一定の間隔で入力され、経過表にすぐ反映されることで、これまで以上に急変にも気づきやすい体制になりました。
効率的な情報共有を行い、抜け漏れも抑制
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QUEVの看護記録は経時で網羅的に記録でき、バイタルや処置がすべて経時的に表示されるため、見返してもいつ・何をしたかがわかりやすいです。紙媒体で記録していた当時は、過去の記録は保管記録から探すこともありましたが、現在は各内視鏡室や病棟の端末から簡便に閲覧でき、情報参照や情報共有の効率化につながっています。
また、病棟への申し送りの際は、口頭に加えシステムで情報共有を行うことになり、内容の抜け漏れの抑制につながっています。 -
看護記録画面全体イメージ(経時記録版)

内視鏡センター以外で実施した検査の運用
現在、重症度や緊急度が高い症例でICUや病棟などで内視鏡を行った場合は、記録を手書きした後に内視鏡センターにあるQUEV の看護記録機能であらためて記録しています。
今後は、手術室などの内視鏡センター以外で行った検査についても、リアルタイムで看護記録を作成できればと考えています。
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