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脳血管外科手術におけるORBEYEの利点と使用時の工夫

  • 福井大学 菊田 健一郎 先生

    ORBEYEを用いた血管症例(バイパス術・クリッピング術)のケースレポートです。
    血管症例における鏡体位置や機器設定についても触れていただいています。

はじめに

ORBEYEはこれまで脊椎、脳腫瘍、脳血管手術などにおける使用経験が報告されているが、全ての手術で顕微鏡の代用とはならないとの限界も指摘されている(Oper Neurosurg 16:707-716, 2019)。特に脳血管バイパス手術にいては主な利点は共同手術が可能なことと教育効果とされており(Oper Neurosurg 17:157-163, 2019)手術操作そのものが顕微鏡と同等以上に代用できるとまでは言われていない。特にバイパス手術においてデジタルズームにより高拡大を得ると、奥行きの感覚が実際とずれてしまい、針先がレシピエント壁の内腔側にあるのか内腔外にあるのかの鑑別が困難となる。我々も初期の経験で特にもやもや病のバイパスでは困難を感じたため、その後しばらくは顕微鏡に回帰していた。

症例提示 ①

27歳もやもや病症例。左側バイパス術後、右側の症状がないため経過を見ていたところ2年の経過で右側も進行し、右半球の脳血流が低下。連日右上下肢脱力を生じるため手術目的のために入院となった(図1)。

<バイパス術のORBEYE セッティング>

もやもや病のバイパス術を再びORBEYEを用いて手術するにあたり、セッティングを見直した。これまでは鏡筒を術者の頭の後方におき焦点距離550mmを用いて手術を行なってきた(図2)。この場合術者はアームの下からモニターを見ることができた(図3)。しかし鏡筒が術野から離れているため別の角度から術野をみたい場合など少し動かすだけで術野が大きくずれ調節に時間がかかっていた。またデフォルトの拡大率が低くなり高倍率にするためにはどうしてもデジタルズームを作動させる必要があった。バイパス手術最大の障壁と考えられるデジタルズームを止めるため、まず鏡筒と術野の距離を短縮した。

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