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安全で効率的な食道・大腸ESDを目指して先端系ナイフユーザーが語るITknife nano使用のコツ
はじめに
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東京女子医科大学病院 野中 康一 先生
ヘリコバクターピロリ陰性時代に突入し、早期胃癌に対するESDは目に見えて減少傾向にある。それと比較して増加する大腸腫瘍に対するESDや一定数存在する食道ESDは、胃と比較すると難易度が高く、ある程度の習熟度が必要となる。
現在、多くの施設でDualKnifeを中心とした先端系ナイフが用いられている。もちろん、コスト面などから考えても、一つの先端系ナイフでESDを完遂するに越したことはない。しかしながら、食道や大腸においては、難易度や合併症の観点からもセカンドデバイスを積極的に用いたほうが良い症例も存在する。
ESDは手技が開発されてから20年以上が経過するが、現在は牽引などを用いて安全にESDを施行する方法が多数考案され、主流となりつつある。著者は、食道ではほぼ全例で糸付きクリップによる牽引を用いており、大腸でも7~8割以上の症例でなんらかの牽引法を用いたESDを施行し、スピーディーかつ非常に安全なESDを行っている。この牽引法を用いたESD時代に、著者が改めてその良さを実感し、実際に多くの症例で使用しているセカンドデバイスとしてITknife nanoをご紹介したい。
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ITknife nanoの製品特徴
現在、先端系ナイフユーザーが主流になり、ESDの粘膜切開・粘膜下層剥離は管腔側に向かう方向へ、押して切って進む。というのが大前提となった。
一方で、ITknifeの基本動作は引き切りが主体とされている。
ITknifeの操作に慣れていない術者が、ITknife 2のような、先端絶縁チップの裏に3本の電極がついた切れ味抜群のナイフを用いたESDを習得することは次第にハードルが高くなってきている。
ITknife nanoは胃のESDで用いられるITknife 2と比較すると、『いい具合に切れすぎない』ナイフであり、ITknife 2と比較して先端絶縁チップが小さい。(図1、2)
ITknife 2やDualKnifeと比較すると、この『いい具合に切れすぎない』ということが最大のメリットであり、食道や大腸のESDを絶対的に安全に行う究極のセカンドデバイスであると著者は考える。
著者は完全な先端系ナイフユーザーであり、DualKnifeのヘビーユーザーである。
その著者が、ITknife nanoの『いい具合に切れすぎない』『小さな先端絶縁チップ』という特徴を最大限に活用して、どのように食道・大腸ESDを行っているかのコツを紹介したい。
さらには、牽引法とITknife nanoを併用することでより効率よく安全にESDを施行する方法も解説する。
図1 ナイフ先端部
図2 製品仕様
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食道ESDにおけるITknife nano
食道はまっすぐな管腔にもかかわらず、なぜ難しいのか?
それは、心拍動と呼吸性変動、吃逆、体動などが最も影響し、それによる合併症(穿孔)が致命的になりかねない臓器だからである。ここで、ITknife nanoの先端が絶縁体であるということ、『いい具合に切れすぎない』ということが、最大の効果を発揮する。さらに介助者が行う操作は、ナイフの出し引きだけであるということも安全性の面で重要である。
上記特徴から、予測できない動きに対応が間に合わず、筋層に当たったとしても、かなりの圧をかけていなければ穿孔するほどのダメージは起こりにくい。
また、ITknife nanoはシースが硬めで先端絶縁チップが小さいため、病変を先端で持ち上げ、剥離面を確認した上で安全に剥離を行えることも魅力である。
しかしながら、安全性を高め、『いい具合に切れすぎない』ようにしたため、剥離(放電)のスピードとナイフの動きが一致していないと、どうしても剥離の層が浅くなりがちである(図3)。この問題点を完全に解決する方法が、牽引法との併用である。糸付きクリップ牽引法で常に粘膜下層の線維を貝柱のように垂直に立てた状態で、ITknife nanoの『いい具合に切れすぎない』良さを残しつつ、3.5mmのブレードで鈍的要素もいれつつ、効率的に剥離することで最終的にスピーディーなESDが可能となる(図4)。
患者の体動が激しい場合や、吃逆などによって剥離のスピードを落とさざるを得ない場合には、著者は早い段階から迷わずITknife nanoと糸付き牽引法を併用し、『いい具合に切れすぎない』というメリットを最大限に利用して最終的に短時間でのESDを行っている。
ITknife nanoは先端チップが絶縁とは言え、引き切りで粘膜切開を行う場合、押し付ける圧と角度を間違えると当然のことながら可能性は低いが筋層損傷を起こしうる。結局のところ、このことが先端系ナイフユーザーがITknife nano使用をためらう最大の理由ではないだろうか。これに対処するため著者がおススメするのが、『押して切る粘膜切開』である。ITknife 2では先端絶縁チップが大きすぎるため、粘膜下層の狭いスペースに先端を挿入するということが困難であった。一方、ITknife nanoは先端絶縁チップが小型に設計されている。口側の切開縁から粘膜下層に先端絶縁チップを潜りこませ、絶縁体というメリットを最大限に活用しながら、押して鈍的に粘膜切開を行うことで、先端系ナイフユーザーが今までの操作とほぼ同じ感覚で、より安全で大胆な粘膜切開を行うことを可能としている。
ITknifeは引いて切るのみという概念はいったん捨て、局面によって押し切りと引き切りを使い分け、ぜひ安全な食道ESDを体験していただきたい。
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図3
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図4
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