第4回:士別市立病院・佐藤先生に学ぶ!看護師が知っておきたい機器取り扱いと管理のポイント
手技と手順の統一により、内視鏡の修理コストを同規模の他病院の3分の2まで削減──。北海道・士別市立病院では、内視鏡検査・治療の手技やその取り扱い手順を統一することにより、内視鏡修理費用の大幅な圧縮を実現しました。具体的に、どのような工夫に取り組んできたのでしょうか。その実際を、同病院の内視鏡センター技術科長で看護師の佐藤貴幸先生に伺いました。
医師5人・看護師7人で年4000件超の内視鏡検査を実施
北海道の北部中央、旭川から車で1時間ほどの位置にある士別市立病院(129床)。その内視鏡センターでは、年間4000〜4500件程度の内視鏡検査をこなしています。内訳は、上部消化管2300〜2500件、下部消化管1300〜1500件、胆膵・EUS300〜350件、小腸・イレウス管・PEG・EVLなど150〜200件です。
検査スタッフは、消化器内科医師5人、看護師7人、メディカルクラーク2人、洗浄助手1人の陣容。このうち医師2名、看護師3名、メディカルクラーク1名、洗浄助手1名のチームが、その日の内視鏡検査を担当します。
内視鏡センターは病院建物の中央部にあり、同一レイアウトの検査室2室が置かれています。そこで毎日、午前中に15〜25件の上部消化管検査を、続いて14時までに6〜10件の下部消化管・EUS検査を行い、14〜16時はERCPやEUSなどを用いた内視鏡治療に充てています。
効率運用のため手技の統一に踏み出す
士別市立病院には潤沢なスタッフがいるわけではありません。そのため同病院では、限られた人員で効率的な運用を図れるように、「徹底した統一を図る」ことにこだわっています。「医師が代わろうと、他のスタッフが代わろうと、やっていることはいつも同じ。“オレ流”はない、ということを徹底しています」と佐藤先生。被験者の体位や内視鏡の入れ方なども含めた手技の統一を図るため、他病院から内視鏡のエキスパートを招いた研修も行っています。
医師による手技の統一を図った結果、検査・治療に用いる備品類も絞り込まれることになりました。「例えばERCP関連手技で用いるガイドワイヤーは、ファーストラインはこの製品、セカンドラインはこれ、といった具合に全医師の道具も統一しています」と佐藤先生。「医師によって好みが分かれることもありますが、そこは辛抱いただき協力してもらっています」とも付け加えます。
こうした取り組みを進めた結果、士別市立病院では内視鏡関連の備品の不良在庫の軽減が図られると同時に、どの医師が手技を担当しても同じ内容の医療を提供できる体制が整うことになりました。
取り扱い手順についても統一、「Simple is the best」が故障予防につながる
検査・治療といった手技に加え、士別市立病院では準備や後処置など、内視鏡を取り扱う手順についても統一を進めてきました。スコープの扱いには特に気を使っており、例えば操作部をトロリーにかける際には、ぐらつきが生じていないかを必ず確認。光源への接続時には、コネクター部を両手でしっかりと持ち、確実に挿入してから電源を入れるようにしています。その後の吸引器や送水タンクなどの接続も、決まった手順に沿って行います。
また、電源を供給するためのコード類は一方向にきつく巻くのではなく、伸展しやすいように順方向と逆方向で交互に緩く巻く「八の字巻き」とすることも徹底しています。
このように動きのパターンも統一した結果、誰が準備しても同じ環境が用意され、しかも無駄な動きが一切ない「Simple is the best」の状態が実現しました。「余計な動きを排したことが、内視鏡の故障予防につながっているのかもしれません」と佐藤先生は語っています。
医師やスタッフへの効果的な声掛けで機器の取扱い意識を浸透!
実際、士別市立病院における内視鏡の年間修理費用(2024年9月26日〜2025年9月25日実績)は、同規模病院の全国平均の約300万円よりも大幅に少ない200万円以下にとどまっています。故障内容の内訳を見ても、「不適切な取り扱いなどによる人為的な損傷はなく、ほぼ全てが劣化・消耗によるもの」(佐藤先生)となっています。
この成果に、手技や手順の統一が寄与していることは間違いありませんが、一方でスタッフ教育が果たしてきた役割も大きいようです。士別市立病院では新人教育の場で、内視鏡機器の価格や修理にかかる金額を伝えていますが、これは「自分たちのものである」という意識を持つことで、スタッフが内視鏡を大事に扱うようになるからです。佐藤先生は「私自身は新人の時に『命がけでスコープを守れ』と教わりました。今も部下との人間関係をつくった上で、同じことを伝えています」と話します。
また、佐藤先生は医師に対しても「内視鏡は自分の右腕だと思ってください」と言い、丁寧な扱いを求めているといいます。「内視鏡は消化器内科医の商売道具です。それを壊してしまったら、検査や治療ができなくなって他の先生に迷惑をかけますし、なにより患者さんが困ることになります。ですから職種にかかわらず、大事に扱うよう肝に銘じる必要があるのです」(佐藤先生)。
「基本に立ち返り内視鏡の扱いの見直しを」
以上の取り組みを踏まえ、佐藤先生は以下のようにアドバイスしています。
「内視鏡の故障を予防するためには、まず基本的な取り扱い方を習得する一方、道具の大切さを心得て、粗雑に扱わないようにすることが絶対条件です。さらに、先端保護チューブのような道具を使えば、より一層の故障予防対策になります。慣れている皆さんも、今一度基本に立ち返り、内視鏡の扱い方を見直してみてください」。
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