第3回:「うちは大丈夫」と言えますか?点検体制のセルフチェック
この記事はオリンパス製品に限らない内視鏡全般の適正使用・故障予防の内容ですが、当社製品をご使用する際は取扱説明書や添付文書を確認したうえで、正しいご使用をお願いいたします。
なお、このコラム記事は、当社にインタビューした内容をもとに作成しております。
医療法で義務化! 日常点検・定期点検の重要性
内視鏡などの医療機器は、日常点検・定期点検を怠ると突発的な故障や機器の劣化を見落としてしまい、内視鏡検査に支障をきたす可能性もあります。そのため医療法によって、定期的な点検が義務づけられています。必要な検査や治療を安全かつ効果的に行うために、改めて機器の点検体制をチェックしてみてはいかがでしょうか。
「慣れ」から来る点検内容のバラつきをなくせ!
内視鏡に関する点検と言ってまず思い浮かぶのが、使用前点検でしょう。これを行っていない施設はないはずです。ただし、その点検が過不足なく実施されているかには注意が必要です。もしかしたら、スタッフによって着目点が異なるなどの理由から、点検内容にバラつきが生じているかもしれません。
例えば、レンズが付いた内視鏡先端部は毎回綿密にチェックするスタッフが、軟性部のシワや座屈にはあまり注意を払っていなかったり、というケースはないでしょうか。使用前点検では、キズや変形などの異常を目視によって確認するだけでなく、軟性部がなめらかに曲がるかを実際に手に取って確かめることなどが欠かせません。また、各アングルを実際に操作してみて、スムーズな動作を確認することなども重要です。
こうした作業に慣れてくると、どうしても個人のクセが出てきて、点検内容が偏るなど属人的になりやすいものです。それを避けるには、基本的な使用前点検の手順を、折りに触れて繰り返し確認することが有効です。
オリンパスでは医療従事者向けウェブサイト「メディカルタウン」の中で、新人から熟練者までが使用前点検の手順を簡潔に学べる内視鏡機器取扱い動画「必見!5分でわかる使用前の準備・点検!」を提供しています(参考動画参照)。こうしたツールを利用することによって、ご自身の日頃の点検内容と見比べて点検の過不足を解消しましょう。
(参考動画) 動画「必見!5分でわかる使用前の準備・点検!」※本コンテンツ閲覧には、会員ログインが必要です。
「点検チェック表」で確認漏れを解消せよ!
動画と一緒に活用したいのが、点検で確認すべき項目を一覧にした「点検チェック表」です。
オリンパスでは、点検で確認すべき項目と点検基準、点検不足が招き得る代表的なトラブル、点検方法をまとめた一覧表(図1)とともに、それらのチェック表(図2)を提供しています。
点検チェック表の最大の効用は、点検の標準化が図れることと、「抜け」や「漏れ」を防げることです。施設内研修などを通じて保守点検方法を周知すれば属人的な点検のバラつきを排除できますし、機器の劣化や故障を見落とすこともなくなります。適切な内視鏡検査・治療を実現するために、点検チェック表の活用をぜひ検討してみてください。
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図1 保守点検方法をまとめた一覧表(抜粋)
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図2 保守点検の項目ごとのチェック表(抜粋)
機器取扱い情報検索はこちら
※こちらより、さまざまな点検基準書がご確認いただけます。(本コンテンツ閲覧には、会員ログインが必要です。)
内視鏡の点検不足は法律違反!?
内視鏡などの医療機器は、医療法によって点検の義務が定められています。機器の添付文書や取扱説明書の内容に沿って、使用前後の日常点検に加え、定期点検、点検記録の保存などを、医療機関の責任で実施することとされています(図3)。これらを怠ると、機器の故障や不具合が原因で医療事故が発生するリスクが高まり、結果として管理責任が問われる可能性があります。医療法で求められている点検業務について以下にまとめておりますので参考にしてください。
図3:「医療法で求められる点検業務について」
● 医療法で求められている点検業務とは?
・日常点検(使用前、使用後など)と定期点検を実施すること
・点検は、医療機関自らの責任で実施すること
・点検は、使用機器の添付文書ならび取扱説明書に記載された内容を実施すること
・点検対象機器は、医療行為に使用するすべての機器であること
※特定保守管理医療機器は必須(内視鏡は特定保守管理医療機器に該当)
・定期点検は、計画的に実施すること(計画の策定が必要。時期・内容など)
・点検記録を残すこと(いつ誰がどんな内容の点検を実施し、その結果は など)
・不具合事項や修理内容等の履歴を記録管理すること(修理報告書の保管など)
そうは言っても、点検の全てを多忙な医療機関のスタッフが担うことは困難です。そこで現実的な解となるのが、メーカーやその指定業者への保守点検の外部委託です。オリンパスでは保守契約の中でご施設に代わって「定期点検」を行うメニューが用意されています。
ただし、全てを委託先に任せてしまうわけにはいきません。例えばオリンパス社製スコープの場合、半年に1回または100症例ごとに定期点検を実施するよう定められていますが、実際の症例数はメーカー側では把握できません。そのため、100症例ごとの点検は施設側の責任で行うなどの対応が必要になってきます。保守契約を結んでいる場合でも、自施設での計画的な点検の実施が欠かせないことに注意しましょう。
【企画・編集 日経メディカル開発】
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「安心・安全な医療環境の維持」「機器の安定稼動とアップタイム向上」「お客様へのスピーディーな対応」を柱とする理念をかかげるオリンパスは、ご施設様のさまざまなご要望にお応えする、プラン選択型サービス契約「OLYMPUS ENDO CARE」をご用意しました。