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    一歩進んだ内視鏡のメンテナンス 内視鏡の取り扱い、
    見直してみませんか?(Vol.2)

    医療機器の取扱いに関する“気になること”や“トレンドの話題”などを、コラム記事としてお届けいたします

第2回:内視鏡の取り扱い、見直してみませんか?(Vol.2)

この記事はオリンパス製品に限らない内視鏡全般の適正使用・故障予防の内容ですが、当社製品をご使用する際は取扱説明書や添付文書を確認したうえで、正しいご使用をお願いいたします。
なお、このコラム記事は、当社にインタビューした内容をもとに作成しております。
 


正しい取り扱いで防げる内視鏡の故障

  • 〈図1〉 内視鏡の故障内訳(当社オリンパス社内修理データ)

  •  近年、高画質化による精密な画像が医師の診断をサポートする消化器・気管支内視鏡には、CCD(撮像素子)をはじめ、先端技術を採り入れた部品が多数用いられています。そのため、機器の取り扱い方が原因で、本来の性能が発揮できなかったり想定外の故障を招いたりして、機器の寿命を縮めてしまう可能性があります。
     一歩進んだ内視鏡のメンテナンスを解説するシリーズの第2回は、前回に引き続き、故障事例を題材に、それを防止するためのポイントを紹介します。今回の故障事例として「コネクターの液漏れ・破損」「送気・送水不良」「鉗子チャンネルの不具合」の3つを取り上げます(図1)。


落下や「ぶつけ」でスコープコネクターに水漏れが!

 内視鏡のスコープコネクターは、内視鏡とシステム本体を接続するための重要な部品です。CCDが捉えた画像情報は、スコープコネクター・システム本体を介してモニターに表示されます。またスコープコネクターは、送気・送水動作をする為に必要な送水タンクとの接続、吸引動作をする為に必要な吸引チューブとの接続など内視鏡検査で必要な機能を果たす上で欠かせない存在でもあります。
 スコープコネクターの故障原因で多いのが、落下や、硬いものや鋭利なものとの接触である「ぶつけ」です。衝撃によってスコープコネクターが損傷すると、浸漬時にそこから水が浸水したりします。その結果、内視鏡画像の不良等の故障に繋がる場合もあります。また、送水タンクを接続する箇所(送水管・加圧管)が破損し、送気送水不良に繋がる場合もあります。 
 衝撃を与えなくても、機器の取扱いが原因で、水漏れや浸水を引き起こすことがあります。例えば、送水タンクの誤った取り外しです。接続部の引き込みが不足したままコネクター部を回転させることにより、水漏れや浸水を招きます。また、防水キャップの取り付けが不十分だったり、付け忘れたりすることも、スコープコネクター内への浸水の原因となります。また、洗浄機を使用する際には、漏水検知用送気チューブ口金内部や通気口金に水が付着した状態で接続すると、スコープコネクター内へ浸水するトラブルの原因となるため、注意が必要です
 こうした故障を予防するには、まずはスコープコネクターの落下やぶつけを避けることが重要です。内視鏡の運搬時は、スコープハンガーに掛けやすく、また洗浄機にセットしやすいよう、スコープコネクターが手前に来るようにして両手でスコープを把持しましょう。防水キャップの取り付けを徹底するなど、定められた機器の使用法も遵守しましょう。さらに大事なのが、こまめに水分を拭き取ることです。水滴の付着は、金属製の接点を腐食させる恐れがあります。接点に加え、内視鏡の通気口金まわりや漏水検知用送気チューブのコネクター内側にも水滴が残らないよう気を配りましょう。

(以下、コネクターの水漏れ・破損の事例と故障原因、故障予防のための取り扱いに関する画像集をご確認ください。)
 

コネクターの水漏れ・破損の事例 画像集

故障内容

  • コネクター破損部からの水漏れ

  • 送水管破損

  • 接点の腐食

  • 接点の腐食

  • コネクター内浸水

よくある故障原因

  • コネクターぶつけ

  • 送水ボトルの誤った取外し(接続部引込み不足での回転)

  • 電気接点に液体が付着したまま放置

  • 不十分な防水キャップの取り付け

  • 防水キャップの付け忘れ

  • 通気口金への水付着

  • 漏水検知用送気チューブ口金内部への水の付着

  • 不要時の漏水検知用送気チューブの外し忘れ

故障予防のための取扱い方法

運搬は両手でスコープを把持する(スコープハンガーに掛けやすく、洗浄消毒装置にセットしやすいよう、スコープコネクターを手前に)

  • 送気管が見える(手前に突き当たる)まで引いてから回す
    (2段アクション)

  • 通気口金まわり/漏水検知用送気チューブコネクター内側の
    水気の拭き取り

  • 電気接点に付着した水分を拭き取る

  • 各種防水キャップ取り付けの徹底


ノズルの「つぶれ」が招く送気・送水不良

 空気を送り込んだり、先端部のレンズの汚れを取り除いたりするための送気・送水機能があります。先端のノズルを含めた送気・送水管路に「つぶれ」や詰まりが生じると、送気・送水不良を起こすことがあります。また、送気・送水ボタンなどのパッキンの破損や、レンズに付着した汚れが原因で、送気・送水不良が起こることもあります。その結果、レンズの洗浄がうまくいかなかったり、胃や腸を拡張できず観察診断に支障が出たり、送気時間がかかって検査の時間が伸びてしまう場合もあります。
 ノズルのつぶれの原因として多いのは、やはり先端部の落下やぶつけなので、衝撃を与えないよう取り扱いには注意しましょう。劣化してしまった送気・送水ボタンは交換が必要です。また、ノズルが詰まらないように、リプロセス時にAW洗浄アダプターを使用して下さい。内視鏡のリプロセスの際には、ノズルの詰まりやレンズへの汚れの付着を避けるため、糸クズやケバが生じないタイプのガーゼを使用します。

(以下、送気・送水不良の事例と故障原因、故障予防のための取り扱いに関する画像集をご確認ください。)

送気・送水不良の事例 画像集

故障内容

  • 水あたりの不足

  • 水切れ不良

よくある故障原因

  • ノズルのつぶれ変形

  • ノズルのつまり

  • 送気送水ボタンパッキン部の切れ

  • 送気送水チャンネル残水等による対物レンズ汚れ

故障予防のための取扱い方法

  • AWチャンネル洗浄アダプター活用によるノズルつまり予防

  • 劣化した送気送水ボタンは交換する

  • アルコールフラッシュによる各チャンネル内の乾燥


意外と生じやすい?鉗子チャンネルの穴やシワ

 処置具の通り道となる鉗子チャンネルは、検査や治療を円滑に進める上で重要な役割を果たしています。その内側に注射針など鋭利な器具が接触すると、ごく小さな穴(ピンホール)やキズができることがあります。また、鉗子チャンネルに強い力が加わると、場合によっては内側が変形してシワが生じます。そのシワに処置具が強く当たると、ピンホールができる原因の一つになります。ピンホールからの浸水は、画像不良などの故障につながるため要注意です。ピンホールの有無は、漏水検知の工程で、水に浸した際に鉗子挿入口や先端の吸引兼鉗子口から気泡が生じるかどうかで判定します。
 ピンホールなどの不具合は、鉗子チャンネル内部での注射針や吸引生検鉗子の飛び出し、または故障した生検鉗子や洗浄ブラシの使用によって発生することがあります。オリンパスマーケティングでは、写真付きで見やすい「処置具寿命判定の目安」を示した下敷きを作成・提供していますので、不具合を回避するための参考にしてください。(ページ最下部にリンクあり)なお、処置具や洗浄ブラシはゆっくりと慎重に挿入・抜去するようにしましょう。素早く引き抜きますと、鉗子チャンネルのシワや座屈などの不具合が起こる可能性があります。そして、そのシワに処置具が強く当たると、ピンホールが発生する原因の一つになります。
 寿命を迎えた処置具を使い続けていると、かえって重大な故障を招いてしまい、本来なら必要なかったコスト負担を強いられることもあり得ます。処置具に限らず寿命を迎えたと考えられる部品は、早めに交換することを心がけましょう。

(以下、鉗子チャンネルの不具合事例と故障原因、故障予防のための取り扱いに関する画像集をご確認ください。)

鉗子チャンネルの不具合 画像集

故障内容

  • 鉗子チャンネルへの針刺し

  • 針刺しによるピンホール

  • 鉗子チャンネル内部のキズ

  • 鉗子チャンネルシワ

  • 鉗子チャンネルピンホール品の水漏れチェック時の気泡発生

よくある故障原因

  • 注射針(局注射)、吸引生検の鉗子チャンネル内部での飛び出し

  • 破損した生検鉗子の干渉

  • 破損したブラシの使用(曲がり)

  • 破損したブラシの使用(金属チップ脱落)

  • 洗滌ブラシの強い引き抜き

故障予防のための取扱い方法

  • 処置具を離脱する際に、針などを引き込みロックをかける

 

【企画・編集 日経メディカル開発】


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