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より迅速・確実な止血処置をサポートするRDIの有用性

はじめに

  • 慶應義塾大学病院 矢作 直久 先生

    EVIS X1に搭載された機能であるRDIを用いたESDにおいて深部血管や出血した血管などの視認性向上などが期待されており、使用経験、使用上のコツを慶應義塾大学病院 矢作直久先生よりご報告いただきました。

白色光観察において課題であった出血点の視認性を向上させたRDI

 内視鏡的粘膜下層剝離術(以下、ESD)時に多量の出血が生じた場合、白色光観察では画面全体が赤くなるため、出血点の特定が困難となることがしばしばありました。出血点の視認性が低いなかでの高周波止血鉗子による凝固止血は、ピンポイントの止血操作が困難になるために治療時間の延長につながるだけでなく、過凝固による遅発性穿孔リスクを高めてしまう場合もあります。しかし、白色光観察では出血点の同定が困難な場面でも、RDI(Red Dichromatic Imaging:赤色光観察)モードに切り替えるとヘモグロビン濃度の高い出血点が濃いアンバー色として強調されますので、出血点の視認性が向上します(図1a,b)。また脂肪の多い胃の大彎側や回盲部におけるESDでは、脂肪により血管の視認性が低下するだけでなく、剝離時に脂肪がレンズに付着し視野が悪くなるため、処置がしづらくなります(図2a)。このような状態では剝離や止血処置が困難となり、処置に時間を要するだけでなく危険な状態になることがありました。しかし、RDIモードの特性により脂肪が目立たなくなり、よりクリアな視野が得られるため、処置がスムースに行えるようになります(図2b)。

〈図1〉出血点の視認性(a)白色光観察;(b)RDIモード

〈図2〉レンズに脂肪が付着した場合の視野比較(a)白色光観察;(b)RDIモード

容易に出血状況の確認が行えるRDIモードにより適切な止血処置の選択が可能に

 慶應義塾大学病院腫瘍センター(以下、当施設)では、基本的に白色光観察でESDを施行し、出血時にRDIのモード1に切り替えています。RDIモードでは、ヘモグロビン濃度に伴いアンバー色の濃さを描出する画像処理技術により、出血点だけでなく、出血の程度についても、より容易に確認することができます。白色光観察では画面全体が赤くなると出血状況の確認が困難となることがしばしばありますが、RDI モードに切り替えることで、出血の程度を認識してそれに応じた止血処置の選択が可能になります。
 RDIモード下で微小出血であると確認した場合は、止血処置は行わずにESDを続行しています。静脈からの湧出性出血や小動脈からの出血と思われるような軽度の出血の場合(図3a)は、止血鉗子は使用せず格納したナイフ先端(DualKnifeJ)で接触凝固を行っています(図3b)。太めの動脈からの噴出性出血など、中等度から重度の出血の場合、従来の白色光観察では一瞬にして画面全体が赤くなってしまうことが多く、吸引や洗浄を行っても出血点の視認は困難でした(図4a)。しかしRDIモード下では、吸引や洗浄を行っている間に出血点が濃いアンバー色として描出されるため、容易に同定が可能です(図4b)。血液が多量に貯留した状態では、RDIモードに切り替えても、出血点の確認は困難となります。

〈図3〉RDIモード下での出血の程度の視認性(a)ナイフ先端で止血可能な軽度の出血;(b)閉じたナイフ先端を密着させての止血操作

〈図4〉中等度の出血の視野比較(a)白色光観察;(b)RDIモード

このような場合はRDIモードへ切り替えた後、吸引を行い、少しスコープを引いて遠景で処置部全体を俯瞰し、全体像を把握します。全体像とおよその出血点の位置を確認したら、近接して出血点付近を洗浄します。洗浄中に、RDIモード下ではフレッシュな血液が濃いアンバー色として描出されるため、出血点を正確に同定することができます。特に水分の溜まる位置では、従来の白色光観察では洗浄しても全体が赤くなってしまいなかなか出血点の同定が困難でしたが、RDIモード下では出血点がアンバー色として描出されるため止血処置が容易になります(図5a,b)。

〈図5〉水分が溜まった状態での視野比較(a)白色光観察;(b)RDIモード

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