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Endoscopist Case Report~Clinical Value of IEE in ERCP~ 胆膵内視鏡診療におけるTXI/RDIの有用性~IEEによる視認性向上がもたらすもの~

はじめに

  • 医療法人渓仁会手稲渓仁会病院 豊永 啓翔 先生

    ERCPにおける、TJF-Q290V及び、EVIS X1で使用可能なTXI、RDIの有用性についてご報告をいただいております。TJF-Q290Vと従来機種の比較や有用性、ERCPにおいてTXI、RDI活用することの臨床上のメリット、使用上のコツについても記載いただいております。

01 胆膵内視鏡のフラッグシップモデル TJF-Q290V・EVIS X1

  • Olympus社における胆膵内視鏡システムのフラッグシップモデルとして、EVIS X1、 TJF-Q290Vが発売されています。TJF-Q290VはJF-260V(2004年発売)とTJF-260V(2006年発売)の後継機として、2019年1月に発売された処置用スコープです。TJFとしてのチャンネル径4.2mmを維持しながら、シャフトの高伝達性能、湾曲半径の縮小、センターロックの強度上昇かつサイドロック機構の搭載、先端キャップのディスポーザブル化、画質の向上(Q image)、TXI/RDI使用可能などあらゆる点で改良がなされています(Table1)。
    ビデオプロセッサー EVIS X1は2020年7月に発売され、Image Enhancement Endoscopy(IEE)として、TXI( TeXture and color enhancement Imaging)及びRDI(Red Dichromatic Imaging)が搭載されました。これまで、診断性能を向上させるためのIEEとして、NBI(Narrow Band Imaging)が広く用いられてきましたが、TXI/RDIの登場により治療に際してもIEEを用いることができるようになりました。
    TJF-Q290Vの特性や、TXI/RDIの有用性について、症例を交えて報告させていただきます。

  • Table1 

02 TJF-Q290Vの臨床上のメリット

高伝達性能がより精密な診断治療に寄与する

  • 高伝達挿入部により、手元の操作した力がロスされずにスコープ先端まで到達するよう改善されています。腫瘍や炎症により十二指腸が硬く狭窄し、Scope positionが悪い症例では、狭窄部の突破が困難であったり、乳頭部に到達しても操作が制限されたり、微細な操作が難しい場合が多いです。TJF-Q290Vではこの高伝達性能により、悪条件の中でも、狭窄突破、乳頭での精密な操作、複数本の胆管ステント留置まで完遂できると考えています(Fig.1)。

  • Fig.1 TJF-Q290V を用いることで、膵頭部癌による硬化(arrow)でスコープポジションが悪い中、膵管ガイドワイヤー法、Needle knife Precut、ステント留置まで完遂することが可能であった

症例に応じた十二指腸鏡の選択

スコープ先端径はφ13.5mmでTJF-260Vと同等、最大外径はディスポーザブル先端カバー実現のためやや太くなっています(Fig.2)。スコープ先端の形状は実際に比べてみると、TJF-Q290Vの先端はやや角ばっている印象を受けますが、面取りされていて丸みを帯びています(Fig.3)。咽頭通過の際にはやや留意が必要ですが、食道狭窄や十二指腸狭窄が非常に強く、バルーン拡張を必要とするような症例以外では問題なく使用可能であり、ほぼ全ての症例でTJF-Q290Vを第一選択としています。

  • Fig.2 スコープ径の比較

  • Fig.3 スコープ先端の比較

起上角度が上がり、よりハードな症例にも対応できる鉗子台

  • 鉗子台の形状変更により、ワイヤーの内装化、センターロックの強度の上昇、センターロック・サイドロック使用可能、カテーテルの起上角度などが改良されています(Fig.4)。センターロックの強度が上昇したことで、長時間の処置かつ複数回のデバイス交換の際にも誤ってガイドワイヤーが逸脱することはほとんどありません。またサイドロック機構が正式に採用されたことにより、サイドロックを行った時のガイドワイヤー損傷も防止されています。

  • Fig.4 サイドロック機構の搭載

特筆すべきはカテーテルの起上角度です。実際にTJF-Q290Vでの挿管では、Long NDSの症例でもしっかりとカテーテルの見上げ角度を作ることができ、胆管との軸合わせも容易です。起上角度はカタログには記載されていないため、実際にUp angle Max+起上Maxの状態でどの程度までカテーテル先端を上げることができるのか、各スコープで比較しました。TJF-Q290Vは鉗子台だけでも強い角度でカテーテルを起上することができています(Fig.5)。さらにスコープのUp angle、湾曲半径の短縮により、Up angle Maxを加えると、さらに強い角度でカテーテルを起上し(Fig.6)、乳頭モデルにおいても高い点までカテーテ ル先端を到達させることができます(Fig.7)。
十二指腸管腔や乳頭部の形状によって、胆管軸に合わせるためにカテーテルを大きく見上げる必要がある場合などで、鉗子台の性能は大きな差が実感できます。

  • Fig.5 鉗子起上Maxでのカテーテル位置比較。手前からTJF-Q290V、TJF-260V、JF-260V。

  • Fig.6 鉗子起上Max+Up angle Maxでのカテーテル位置比較。手前からTJF-Q290V、TJF-260V、JF-260V。

Fig.7 モデルでのカテーテル先端到達点の比較

治療の幅が広がる、大口径鉗子チャンネル 4.2mm

TJF-Q290Vでは4.2mm径チャンネルが搭載されています。4.2mmチャンネルでのみ使用可能なデバイスとしては胆道鏡CHF-B290、砕石バスケット(スーパーハードタイプ)、12Frのステントなどがあります。また肝門部胆管狭窄などでは複数本のガイドワイヤー・ステント留置を行う必要があります。4.2mm径によって、ワイヤー3本留置したまま8.5-10Frのステント留置や、6Frのメタリックステントを2本同時留置・展開、Two devices in one channel methodも可能です。またステントの抜去に際しても、10Frプラスチックステント、メタリックステントなどの太いステントも注意して行えばチャンネルを通して抜去することが可能です。

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