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新型シングルバルーン小腸内視鏡を使いこなす~受動湾曲とIEEがもたらす有用性~
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東京医科歯科大学病院 大塚 和朗 先生
はじめに―機器の特徴
シングルバルーン内視鏡(SBE)が進化した。新型SBEであるSIF-H190は、受動湾曲の採用による挿入性の向上、鉗子口径の増大による処置具の操作性の改善などが図られており、小腸内視鏡の可能性を広げるものである。
また、撮像方式として同時式が採用されている。これまで欧米では同時式が採用されてきていたが、本邦ではより高画質の面順次式が採用されていた。しかし、画質の向上により同時式も面順次式と遜色のない画像が得られるようになってきたため、本機種は同時式で撮像する。これにより面順次式でみられた呼吸変動などによるブレは減少する。NBI(Narrow band Imaging)に加えてオリンパス独自の画像強調観察法であるTXI(Texture and Color Enhancement Imaging)モードやRDI(Red Dichromatic Imaging)モードも使用でき、詳細な観察が可能である。
受動湾曲の有用性
病変への到達能の高さは、小腸内視鏡において重要な観点である。食道、胃、十二指腸をくまなく観察する上部内視鏡や回腸終末部を含む全大腸を観察することが基本である大腸内視鏡とは異なり、小腸内視鏡においては必ずしも小腸全域を観察することは求められていない。しかし、原因不明消化管出血(Obscure gastrointestinal bleeding: OGIB)など事前の検査で病変部位が特定されていない場合は全小腸の観察が必要になることがある。さらに慢性の炎症性腸疾患であるクローン病では、繰り返す炎症のために腸管の変形や癒着をきたしていることが多く、あるいは瘻孔や膿瘍の形成のために外科手術が施行されていることも少なくない。さらに、近年普及してきている内視鏡的狭窄拡張術では低侵襲に狭窄を治療できることから、クローン病の新しい治療法として期待が大きい。しかし、病変に到達できないために治療を断念することもある。こうしたことから到達能の高い小腸内視鏡が求められている。これに対し、大腸内視鏡で採用され挿入性の改善が実感されてきた受動湾曲機能が、このSIF-H190にも採用された。スコープ先端がステッキ状になると、先端に力がうまく伝わらずそれ以上の挿入は困難となる。受動湾曲機能はスコープにかかる力を屈曲部全体に分散させるため、スコープ先端部を深部に進められる十分な力が伝達される。小腸は腹腔内で複雑に屈曲しているが、受動湾曲機能により屈曲部の通過が容易となり深部への到達能が改善されると考えられる。
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図1:幽門―十二指腸側:経肛門挿入による全小腸観察
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図2:幽門―胃側:反転観察
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図3:全小腸観察時のX線像:胃内にスコープ先端がある
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図4:複雑な走行でも挿入可能である
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