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Challenges to new possibilities ~What the latest technologies and techniques can bring~ New Options for Papillary Treatment
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岐阜大学医学部附属病院 岩下 拓司 先生
英語でのセッションとして行われた、JDDW2024 ランチョンセミナーの内容を日本語に翻訳したレポートです。
本講演では総胆管結石(CBDS)を取り上げ、胆管および膵疾患に対する経乳頭的内視鏡治療について解説いただいております。#ERCP-アクセス #ERCP-乳頭処置 #ERCP-結石
 
胆管および膵疾患に対する内視鏡治療において十二指腸乳頭部切開は必須の手技である。本講演では総胆管結石(CBDS)を取り上げ、同疾患に対する経乳頭的内視鏡治療について概説する。
総胆管結石に対する各種経十二指腸乳頭的内視鏡治療
胆管および膵管との合流部に開口する十二指腸乳頭は胆汁、膵液の流れを制御する機能を有するとともに、CBDSに対する内視鏡的治療におけるアプローチサイトでもある。以下に、4種類の経乳頭的内視鏡治療についてエビデンスを交えて概説する。
01内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)
ESTに関する最初の報告1,2)は50年前にさかのぼる。Classenら2)がESTを行うことで小規模な処置での胆石除去が可能と結論づけて以来、同治療法の有効性および安全性に関する多くのエビデンスが報告されている。Claytonらは、1,357例を含む12研究を対象にCBDSに対するESTと外科手術の治療成績に関するメタ解析3)を実施し、両者の結石除去率、死亡率に有意差のないことを報告している。この結果について著者らは、いずれの治療法を選択するかは医療資源と専門的見地から判断すべきと結論づけている。
他方、安全性に関しては米国およびカナダの17施設にて、1992年から1994年にかけてESTを実施した2,347例を対象にした検討4)が行われている。同検討における治療後30日以内の全合併症発生率は9.8%(膵炎5.4%、出血2.0%、穿孔0.8%)、全死亡55例中処置関連死は10例と報告されている。
これらの知見を含む多くのエビデンスを踏まえ、日本消化器内視鏡学会のガイドライン5)はESTをCBDSに対する標準治療に位置づけるとともに、有害事象の回避には切開の方向と長さを適正化できる技術を有する消化器内視鏡専門医のみが実施すること、適応症例を厳密に選択することが不可欠としている。
02内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)
経乳頭的内視鏡治療における有害事象の回避には単純かつ安全な手技が必須であり、その答えの1つがガイドワイヤでバルーンを挿入し乳頭を拡張するEPBDである。
EPBDの有効性と安全性について最初に報告したのはStaritzら6)である。StaritzらはCBDS9例、胆管狭窄1例を対象にEPBDを施行、有害事象が皆無であったことからESTの代替可能な治療法と結論づけている。しかしながら、Fujitaら7)が行った結石サイズ14mm未満のCBDS患者282例を対象としたESTとEPBDの無作為化比較研究(RCT)では、両者の胆石除去率(100.0% vs. 99.3%)および合併症発生率(11.8% vs. 14.5%)に差はなかったが、急性膵炎発生率はEPBD群で有意に高いことが示された(p<0.05)。サイズが10mm未満で4個までのCBDS患者(EST群120例、EPBD群117例)を対象にDisarioらが行ったESTとEPBDに関する多施設共同RCT8)では、両群の有効性には差がなかったものの、合併症の発生率がEST群に比較してEPBD群で有意に高く(p値;全体<0.001、重篤0.004)、特に膵炎に注意が必要と結論づけられている(p値;軽度/中等度0.001、重度0.012)。他方、EPBDとESTを比較した2本のメタ解析9,10)では、両者の有効性が同等であることが示され、EPBDには破石用デバイス(ML)を必要とする症例が多い点と膵炎リスクの高さ、ESTには出血リスクの高さという相対的なデメリットがあることが示唆された。
長期成績については、Yasudaら11)のRCT被験者を対象とした長期追跡研究(追跡期間中央値6.7年)においてEPBD群(138例)の胆管合併症発現率はEST群(144例)よりも有意に低く(p=0.0011)、前者は後者よりも乳頭機能温存に優れる可能性が指摘されている。
以上の知見も含めた多数のエビデンスを踏まえ、日本の胆石症診療ガイドライン2021年版12)では、出血傾向、解剖学的異常、乳頭機能を温存する必要のあるケースがEPBDの良い適応になるとされている。
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