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EU-ME3のEBUS-TBNAにおける有用性
はじめに
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獨協医科大学 中島 崇裕 先生
EU-ME3のEBUS-TBNAにおける有用性に関して解説頂いております。EU-ME3の概要から搭載されている機能、実臨床における有用性について、中島先生ご自身の使用経験をもとに示して頂いております。レポート内のQRコードを読み取ることで実際の臨床動画を視聴することも可能です。
01新型超音波観測装置 EU-ME3
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超音波気管支鏡を使用した手技が普及するにつれて、より正確な診断や安全な手技が求められている。EBUS 手技の一つである超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)は現在リンパ節転移の質的診断にとどまらず,プレシジョン医療を支える高精度診断のための検体採取という役割も担っている。2022 年版の肺癌診療ガイドラインより確定診断において「肺門・縦隔リンパ節および気管・中枢気管支に接する病変に対してコンベックス型EBUS-TBNA を行うよう推奨する」とされており、TBNA 施行施設数は今後も増加していくと考える。
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この手技の正確性・安全性を高めるためにはより鮮明かつ正しく対象病変を描出する必要がある。その中で2023 年にオリンパス株式会社から新型内視鏡用超音波観測装置「EU-ME3」が発売された。EU-ME3 は超音波の送受信処理の高精度化により、従来品より超音波の画質が向上している。また、その他の機能やキーボードも改良されており、ニーズに応じて必要な機能を選択して追加導入することが可能となった。本レポートでは新型内視鏡用超音波観測装置であるEU-ME3の臨床使用経験に基づき、従来機種(EU-ME2)と比較した各機能改善点、EBUS 手技への有用性を解説する。
02EU-ME3 各機能の臨床的有用性
B モード
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Bモード画像は、高画質化が実現されており、明瞭な超音波画像を得ることができる。全ての観測モードの基本であるBモード画像の画質が改善されたことで、EBUS検査全体の向上に寄与すると考える。従来機種(EU-ME2)と比較して、分解能・深達度ともに向上しており、各構造物の辺縁がよりはっきりと識別できるようになっただけでなく、リンパ節内部のエコー画像解像度が改善されたことで、リンパ節断面のテクスチャが感じられるようになった。
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4L リンパ節観察
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TBNA施行時に穿刺針はしっかり描出されており、特に重要な針先の位置をはっきりと認識することができた。穿刺針によって引き起こされるアーチファクトも軽減していると感じられた。Bモード画像が高画質化されたことで、TBNA施行時の安全性により寄与する可能性がある。
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4L リンパ節穿刺
FLOW モード
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EU-ME2と同様に右記のドプラーモードが使用可能である。
基本となるBモードの解像度が向上している影響か、色のにじみが少なくメリハリの利いたドップラー画像になっていると感じた。
当院ではTBNA施行時には血管からのはみ出しを抑えて血流表示するハイフローを基本的に使用し、穿刺前に血管介在を確認している。 -
- カラーフロー:血流の向きと速度をカラー表示
- パワーフロー:血流の強度をカラー表示
- ハイフロー:血流の向きと強度をカラー表示
- パルスドプラ:指定した部位の血流の速度をグラフ表示
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カラーフロー
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ハイフロー
キーボード
EU-ME3より新たにトラックパッドと大型液晶タッチパネルが採用された。
EU-ME2ではトラックボールが採用されていたが、トラックパッドになることで操作性が向上した。トラックパッドの設計 も手袋をした状態での操作を念頭に設計されているため、手袋をした状態でも操作性は損なわなかった。メインの操作パネル がフラット化されたことで、清掃性も向上した。
また、大型液晶タッチパネルの採用により、それぞれ必要な場面での機能が拡大表示され、より直感的な操作が可能になった と感じている。
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