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大腸CADeとENDOCUFF VISIONの可能性

  • 昭和医科大学横浜市北部病院
    奥村 大志 先生

はじめに

 大腸内視鏡検査は大腸癌の早期発見において極めて重要な検査手技である。しかしながら、標準的な検査においても約25%の腫瘍性病変が見逃されるという課題が指摘されている(1)。この「見逃し」は、post colonoscopy colorectal cancer: PCCRC発生の主要な要因とされ、検査の質を示す指標である腺腫検出率(Adenoma Detection Rate:ADR)の向上が強く求められている。近年、この課題に対して、人工知能(AI)を用いた診断支援システムや、物理的に粘膜露出を強化するデバイスなど、多角的なアプローチによる技術革新が進んでいる。本稿では、病変検出支援のcomputer-aided detection: CADeの現状、特にEndoBRAIN-EYEの特徴、そしてENDOCUFF VISIONを用いた大腸スクリーニング検査の実際について概説する。

CADeの現状

  •  CADeはリアルタイムの内視鏡映像からポリープなどの病変を検出し、画面上に矩形や色付けによって内視鏡医に提示するシステムである。CADeの臨床的有用性を検証する多数のランダム化比較試験(RCT)が実施されており、これまでのメタ解析の結果を総括すると、CADeの使用によりADRは約8%向上することが示されている(2)。CADeによる発見率向上の主な対象は微小腺腫と言われていたが、2024年に発表されたメタ解析で、advanced adenomaについても、比較的小さい上昇幅だが有意な検出率向上が認められている(12.7% vs 11.5%、相対リスク 1.16 ) (3)。
     一方で、厳格な管理下で行われるRCTとは異なり、実臨床におけるCADeの効果については議論の余地がある。システマティックレビューとメタ解析では、非ランダム化実臨床研究におけるCADeの効果を検証しており、その結果、CADeはADRおよび1検査あたりの腺腫数(adenomas per colonoscopy:APC)を向上させる傾向にあるものの、RCTで示されたほどの劇的な効果は認められない場合や、施設や医師の経験年数によって効果にばらつきが見られることが報告されている(4)。

  •  こうした研究成果を反映し、2025年3月には米国消化器病学会(AGA)と欧州消化器内視鏡学会(ESGE)からそれぞれ大腸内視鏡CADeに関するガイドラインが発表された(5, 6)。現状のエビデンスが限られているため、AGAは推奨を出さず、ESGEはエビデンス不確実性を考慮し弱い推奨にとどめている。しかし両ガイドラインはLiving guideline(随時更新型ガイドライン)として発行されており、今後のエビデンス蓄積に応じて推奨内容が柔軟に更新されることが予想される。

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