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VISERA ELITE Ⅲを用いた神経内視鏡手術

はじめに

  • 埼玉医科大学総合医療センター 長谷川 洋敬 先生

    VISERA ELITE Ⅲを使用した神経内視鏡手術についてご解説いただいております。

神経内視鏡手術総論

 神経内視鏡手術は、近年の光学技術の進歩により発展してきた低侵襲的手術法であり、特に頭蓋底外科領域において内視鏡下経鼻手術(Endoscopic Endonasal Surgery, EES)として適応が拡大されつつある。対象となる疾患は下垂体神経内分泌腫瘍が最多であるが、それ以外にも頭蓋咽頭腫や正中~傍正中の頭蓋底髄膜腫、脊索腫・軟骨肉腫といった頭蓋底悪性腫瘍と幅広い。更に近年では、小開頭と内視鏡を組み合わせた低侵襲手術法も発展を見せており、今後神経内視鏡手術の応用範囲はますます広がっていくことが期待されている。
 一般的に手術中の可視性能は成績に大きく影響し、したがって神経内視鏡手術でも質の高い視覚情報が求められてきた。現在では内視鏡の解像度は4Kにまで高められ、高精細な術野で微細な操作が行えるようになっている。しかしながら病変と正常組織の見た目が似通っている場合など、高解像度化のみでは組織同士の識別が困難なこともある。このような場合には別角度での視覚補助技術が有効となる。代表的なものがNBI(Narrow Band Imaging)であり、特定の波長帯域光を使用して組織の血管や粘膜構造を可視化することで、主として消化管内視鏡分野において腫瘍や異常組織の識別精度向上に繋がることが報告されてきた。

VISERA ELITE Ⅲ 機器紹介

 オリンパスのVISERA ELITE Ⅲは、従来の高精細4K映像はそのままに、コンティニュアスオートフォーカス(C-AF)、EDOF(被写界深度拡大)、ハイダイナミックレンジ(HDR)、赤外線(IR)観察、Yellow Enhance(YE)モード、といった多くの最先端技術を搭載し、多機能性と高いカスタマイズ性を兼ね備えた最新の内視鏡プラットフォームである。
 術野映像の高精細さは手術の決め手となるが、単に解像度のみではなくフォーカスのずれ(ピンボケ)も術野解像度を下げる要因となる。VISERA ELITE Ⅲでは、C-AFをONにした場合、画面中央部のAFエリアに対して連続的なフォーカス調整が自動的に行われ、フォーカス調整をほとんど必要としない操作が可能となる。加えてEDOF機能がもたらす深い被写界深度、HDR機能がもたらす黒つぶれや白飛びが発生しづらい鮮明な映像も相まって、ストレスフリーな手術体験に繋がる。またIR機能を搭載しており、インドシアニングリーン(ICG)による術中蛍光血管造影にも対応するが、現在これに対応する硬性鏡で最小径のものは5mmとなっている。実際の術中ICG造影で得られた画像を以下に示すが、右海綿静脈洞部内頚動脈の走行が明確に描出されている(画像は30度斜視鏡を使用)。
 このような多くの機能の中でも、特にYEモードは他に類を見ない新規機能であり、黄色色素を含む組織を強調することで組織識別性能の向上に繋がり、手術の安全性と効率性が向上する。本来は腹腔鏡領域において大網などの脂肪組織との識別性能向上を目指して搭載された機能であるが、脳神経外科領域でも黄色調を発する組織であれば識別能向上に寄与し得る。

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