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AIが拓く大腸内視鏡 Next Stage 大腸汎用スコープで使用可能な診断支援ソフトウェア-検査の質向上をサポートするEndoBRAIN-Xとその活用方法-
はじめに
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昭和大学横浜市北部病院 三澤 将史 先生
開発ドクターである三澤将史先生に、汎用スコープを用いて腫瘍・非腫瘍の診断支援が可能な内視鏡画像診断支援ソフトウェアEndoBRAIN-Xの製品開発背景やエビデンス、また、活用方法についてご解説いただいております。
汎用スコープでのAIによる腫瘍・非腫瘍診断支援を目的としたEndoBRAIN-Xを開発
大腸内視鏡検査における内視鏡医の腫瘍・非腫瘍の判別は必ずしも正確ではなく、約10~20%の割合で誤診が生じるとされてい ます1。この理由としては、内視鏡医の熟練度に依存する判別精度の問題や、5mm以下の微小病変など一部の病変における判別の難 しさなどが挙げられます。また、正しく診断された場合でも、自身の判別に対する確信度の低さにより最適な処置が行われないこともあります。
これらの問題を解決するため、私たち昭和大学横浜市北部病院消化器センターでは、2018年までにAIによる内視鏡画像診断支援ソフトウェアEndoBRAINを、サイバネットシステム株式会社、名古屋大学とともに開発し、腫瘍・非腫瘍判別の感度96.9%、正診率96.0%を実現しました2,3。ただ、EndoBRAINは超拡大内視鏡Endocytoとの併用が必須であるため、導入は大学病院などの先進的な設備が整った基幹病院が中心となっています。
しかし、AIによる診断支援は、一般的な医療機関に在籍する非専門医やトレーニーにこそ大きなメリットがあると考えられます。そこで、このたび私たちは、汎用スコープで使用可能な新たな内視鏡画像診断支援ソフトウェアEndoBRAIN-Xを開発しました。
EndoBRAIN-Xによる診断支援は専門医・非専門医の双方に有効
高精度の診断支援を実現するためには、AIに学習させる画像データの多様性が重要です。そこで、私たちは画像データの選択にあたり、不鮮明な画像や、様々な機種の汎用スコープで撮影した画像を意図的に含め、反対に腫瘍・非腫瘍判別が容易な画像は減らすようにしました。
その結果、昭和大学で切除した大腸病変500例(腫瘍:346例、SSL:39例、過形成性ポリープ:115例)のNBI画像を用いて行った後ろ向き非臨床性能評価試験では、EndoBRAIN-Xは病理診断が腫瘍性である病変に対する腫瘍・非腫瘍判別の感度97.9%を達成しました4。また、同じNBI画像を用いて、EndoBRAIN-Xによる支援なし・ありの場合について正診率と確信度を比較した結果、非専門医・専門医ともに有意な上昇が認められました(表)5。
表 EndoBRAIN-Xの支援参照による診断精度の変化
以上の結果から、EndoBRAIN-Xの診断支援により、専門医・非専門医問わず診断精度への上乗せ効果を得られること、および非専門医は専門医と同程度の正診率を達成できることが明らかになりました。加えて、内視鏡医の心理的負担や疲労の軽減といったメリットにつながることも期待されます。
【文献】
1)Takeuchi Y, et al. J Gastroenterol. 2015;50(10):1017-1026.
2)Kudo SE, et al. Clin Gastroenterol Hepatol. 2020;18 (8):1874-1881.e2.
3)内視鏡画像診断支援ソフトウェア EndoBRAIN 添付文書. 2019年6月13日(第2版)
4)内視鏡画像診断支援ソフトウェア EndoBRAIN-X 添付文書. 2023年5月31日(第2版)
5)Kato S, et al. Digestive Endoscopy. 2023.
6)Minegishi Y, et al. Gastroenterology. 2022;163(1):323-325.e3.
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