上部消化管スクリーニング検査における EVIS X1の活用方法とそのメリット
※画像提供
とくしま未来健康づくり機構 徳島県総合健診センター 青木 利佳先生
EVIS X1 × GIF-1200N(面順次式) 早期胃癌
症例は70歳代男性。除菌後10年以上。TXI mode1にて体下部大彎後壁寄りに発赤粘膜があることがわかる。
WLIでも発赤粘膜としてとらえられるが、TXI mode1の方が、より明瞭に病変を視認できる。
NBI近接にて陥凹境界が明瞭となりbrownishに見える。
また、内部の構造もirregularであり、癌を強く疑うことができる。腫瘍径10×8mm、組織型はpor1>tub2、T1b1(SM<0.5mm)であった。
EVIS X1 × GIF-1200N(面順次式) 早期胃癌 HP現感染胃の印環細胞癌
症例は40歳代男性。H.pylori 現感染。TXI mode1にて体下部小彎前壁寄りに白色域を認める。
未分化型癌に特徴的な断崖状の陥凹はなく、色調の変化だけの小さい0-Ⅱb病変だが、はっきりと視認できる。
WLIでも白色調粘膜に気づくが、TXIやNBI観察のほうが周囲との色調差から、拾い上げに有利と考えられる。
腫瘍径は8×6mm大、組織型は印環細胞癌で深達度はT1a(M)であった。
EVIS X1 × GIF-1200N(面順次式) 除菌後の地図状発赤
除菌後の症例。O-1萎縮。地図状発赤が胃体部小彎に広がっている。
WLIでも観察可能だが、TXI mode1で観察すると、周囲の粘膜の発赤が消失しているため、逆転現象により地図状発赤がさらに鮮明に確認できる。 NBIで観察すると、発赤が改善した部位の粘膜構造は視認できないが、地図状発赤を呈する部位は不整のない粘膜模様が描出され、腸上皮化生であると診断できる。
このような広い範囲の地図状発赤は、NBI観察を基本にして連続的に観察することで観察時間の短縮につながる。
EVIS X1 × GIF-1200N(面順次式) びまん発赤
本症例はH.pylori 現感染で、木村竹本分類O-2の萎縮を認める。
WLIでも体部のびまん性発赤は認識できるが、TXI mode1の場合は萎縮の範囲がより診断しやすくなる。
NBI観察は、全体に発赤が強い現感染の場合は遠景では暗くなるため、拾い上げには適さない。
EVIS X1 × GIF-1200N(面順次式) H.pylori 未感染 RAC
H.Pylori 未感染の場合WLIでもTXI mode1のいずれもRACや稜線状発赤がはっきりと描出される。
この場合はどちらで観察しても大差はないが、TXI mode1は粘膜面が赤く見えるため、慣れないとびまん性発赤があると判定してしまい、H.pylori 感染診断に迷う場合がある。
ただ、萎縮があるかどうかはTXI mode1の方がWLIよりも感度が高いと考えられるため総合的に判定できることが多い。
EVIS X1 × GIF-1200N(面順次式) H.pylori 現感染 胃潰瘍
症例は40歳代男性。H.pylori 現感染の胃潰瘍の症例である。
多発する白苔を有する活動期(A2stage)の小潰瘍と線状の白苔を有する治癒期(H2stage)の潰瘍を認める。
その間の粘膜は浮腫状で発赤調。WLIでも診断できるが、白苔の存在についてはTXI mode1がより視認しやすい。また、白苔周囲に異常な粘膜構造がないかは、NBIで診断できる。
本症例は除菌に再検査を行ったところ、潰瘍は治癒し粘膜浮腫も改善していた。
EVIS X1 × GIF-1200N(面順次式) 除菌後 MALT
症例は40歳代男性。除菌後3年程度経過している。遠景でもTXI mode1では胃角部体彎の白色調の病変に気づく。
病変は萎縮境界のすぐ口側に存在し、WLIでも萎縮の部位より白色調が強い印象を受ける。
TXI mode1で近接すると、内部に異常な血管が確認される。
さらにNBIで近接すると、異常血管を認め、生検を行ったところ、MALTリンパ腫であった。
EVIS X1 × GIF-H190N(同時式) H.pylori 未感染 早期胃癌
症例は40歳代男性。H.pylori 未感染で、飲酒・喫煙・胃癌の家族歴があった。
胃角裏小彎に白色域を認め、生検では印環細胞癌であった。
筆者はTXI mode1で先行観察しており病変に気づいたが、WLIに切り替えるとやはり不鮮明になる。
NBIでも白色は視認できるが、TXI mode1が最も病変の拾い上げには有効に感じる症例であった。
EVIS X1 × GIF-H190N(同時式) H.pylori 現感染 胃腺腫
症例は50歳代女性。体下部大彎に隆起性病変を認める。TXI mode1は遠景でも、凹凸に気づきやすくこのような病変の拾い上げに有用である。
WLIに切り替えて観察したが、TXI mode1観察より情報量は増えない。
さらにTXI mode1で近接すると、周囲よりわずかに白色であることが強調され目立つようになる。
NBIに切り替え表面構造を確認したところ、腫瘍性病変と診断でき、生検の必要性を判断することができる。
本症例は高度萎縮性胃炎に発生した腺腫であった。
EVIS X1 × GIF-H190N(同時式) H.pylori 除菌後 地図状発赤
本症例はH.pylori 除菌後。体部の見上げ像で萎縮と非萎縮領域、その間の地図状発赤がみられる。
WLIよりTXI mode1のほうが視認しやすいが、インジゴ散布したTXI mode1ではコントラストがつき、その境界がより明瞭となり遠くまで明るく見える。 残念ながら、NBIは近接での粘膜構造のチェックには大変優れているが、遠景では暗くなるためTXIで病変を拾い上げたうえで近接してNBI観察する方が効率的と考える。
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