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    胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書 コラム(第3回)

    クリニック様に向けた様々なコラム記事を掲載しております

大腸内視鏡検査に対する不安と求めることトップ10

男女の検査イメージの違いを分析

  • オリンパスは2024年、全国の40~60代 合計14,100人を対象に、がん検診や内視鏡検査に関する意識調査を実施し、その実態や課題について公開しました。今回、監修の小林望先生より、意識調査のトピックスを3回に分けて解説いただきます。第3回目(最終回)の今回は、大腸内視鏡検査へのイメージです。一般の方々の中には、大腸内視鏡に対して、痛い・つらい等のマイナスイメージを持つ方が多いのも事実です。
    では、具体的にどのような点に不安を感じているのか、その実態に迫ります。
    *本記事では一部、意識調査白書未掲載情報も含みます。
     

    監修医師:国立がん研究センター中央病院 検診センター長 小林望先生


経験者と未経験者、そして男女間におけるイメージの差  

以下は、一般の方々が大腸内視鏡検査に対してどのような印象を持っているか、過去3年以内の大腸内視鏡経験者と、過去未経験者を男女別に比較した表です。

〈大腸内視鏡検査に対するイメージ〉
※受けたことが有る方は経験をもとに、受けたことが無い方はイメージを回答

(%)


 


 

全体

過去3年以内経験者

過去未経験者

男性

女性

男性

女性

 

N

14,100

1,601

1,302

4,299

4,833

1

検査が辛い

42.3

28.7

39.9

37.2

52.0

2

検査前の準備が大変だ

32.3

37.4

51.0

18.7

32.6

3

検査がお尻からだから恥ずかしい

30.3

15.1

28.2

23.1

43.9

4

腸の中を見る(観察する)だけでなく、検査と同時に組織採取できる

24.9

38.3

41.9

15.0

21.6

5

費用が高い

16.2

13.7

17.5

15.6

17.1

6

検査と同時に治療が行える

15.4

23.5

30.0

8.8

12.4

7

検査の結果が信頼できる

13.9

25.8

20.9

10.6

9.2

  全体より10ポイント以上高い   5ポイント以上高い   5ポイント以上低い   10ポイント以上低い

全体的に、「検査が辛い」「検査がお尻からだから恥ずかしい」といったネガティブなイメージの割合が多く、経験者はそれらが緩和する傾向にありました。ただ、「検査前の準備が大変だ」については、経験者のほうがポイントが高くなり、過去未経験者と比較すると、経験者の方が約20ポイント高くなっています。実際に経験し、準備の大変さを実感する方が多いようです。 
また、「観察だけでなく組織採取できる」「検査と同時に治療が行える」といった、内視鏡検査ならではの価値は、経験者の間では一定程度理解が進んでいますが、未経験者とは約15~20ポイントの開きがあり、経験者と未経験者の間に知識の差があることもうかがえます。 
なお、過去未経験者を男女で比較すると、女性では、「検査の辛さ」と「検査への恥ずかしさ」を選ぶ人が突出して多くなりました。検査未経験の女性は特に、大腸内視鏡検査に抵抗感を持っていることが分かります。


大腸内視鏡検査に対する不安トップ10 男女の大きな違いとは?  

では一般の方々は、具体的にどのような点に辛さや恥ずかしさを感じているのでしょうか。今回、大腸内視鏡検査に対する「不安なこと」、「求めること」の2つの切り口で深掘り調査を行いました。まず、「不安なこと」から詳しく見ていきます。

〈大腸内視鏡検査を受けるにあたって「不安なこと」上位10項目〉   

(%)


 


 

全体

過去3年以内経験者

過去未経験者

男性

女性

男性

女性

 

N

14,100

1,601

1,302

4,299

4,833

1

腸管洗浄剤(下剤)でトイレに何度も行くのが面倒

36.5

33.0

43.9

25.5

43.5

2

検査中に内視鏡でお腹に強い痛みがあるのではないか

28.1

18.5

27.4

23.7

36.9

3

腸管洗浄剤(下剤)でお腹が痛くなるのではないか

26.8

13.8

22.4

21.2

40.1

4

検査中に尿漏れや便漏れを起こさないか不安

26.7

13.2

19.7

21.8

40.4

5

検査後にお腹の違和感や痛みがあるのではないか

26.1

15.8

23.7

21.8

35.5

6

検査後に体調不良になったり・急変したりしないか

23.8

16.3

24.9

21.6

29.8

7

準備のための 腸管洗浄剤(下剤)が効くのかどうか

22.4

15.6

22.0

17.5

30.2

8

鎮静剤を使った時に、きちんと効くのか

21.5

14.6

21.7

19.1

27.9

9

検査当日に病院に向かう移動中、下剤の効果でトイレに行きたくなってしまうのではないか

21.1

12.5

22.8

14.5

30.5

10

検査後に尿漏れや便漏れを起こさないか不安

20.2

9.4

15.4

15.7

31.6

  全体より10ポイント以上高い   5ポイント以上高い   5ポイント以上低い   10ポイント以上低い

全体としては、腸管洗浄剤や大腸内視鏡に関する不安が上位にあがりました。いずれも検査を経験することで緩和傾向ですが、「腸管洗浄剤(下剤)でトイレに何度も行くのが面倒」については、やはり経験者のほうで割合が高くなっています。
また、検査未経験の女性については、検査前の準備段階から検査中・検査後にかけて幅広く不安を抱えていることが分かりました。腸管洗浄剤については、検査前のトイレの面倒さだけでなく、洗浄剤によってお腹が痛くなるのではないかという不安も感じている方が多いようです。さらに、「尿漏れや便漏れを起こしてしまわないか」といった恥ずかしさに関する不安についても、検査前から検査後にかけて、女性未経験者は特に不安を感じている人が多い傾向があり、男性と比較すると、約15~20ポイント高くなりました。
なお、表にはありませんが、40代女性の過去未経験者においては、「検査当日に生理だった場合大丈夫なのか」を選んだ方が35.2%おり、女性特有の不安を抱えている方も一定数みられました(40代女性の過去未経験者で6位)。


大腸内視鏡検査に求めることトップ10 一般の方々が望むポイントとは  

次に、一般の方々が大腸内視鏡検査に対して求めることを見ていきます。

〈大腸内視鏡検査を受けるにあたって「求めること」上位10項目〉    

(%)


 


 

全体

過去3年以内経験者

過去未経験者

男性

女性

男性

女性

 

N

14,100

1,601

1,302

4,299

4,833

1

検査自体の具体的な流れ (大腸の奥(盲腸)まで挿入してから、徐々に肛門側へ戻ってきて観察する等)について知っておきたい

29.3

17.9

26.2

24.4

41.1

2

鎮静剤を使用して、寝たまま(うとうとしたまま)受けたい

28.1

20.5

37.1

21.1

35.5

3

検査中の対応事項(体の体勢を変えるなど患者側が対応する事項 )について予め知っておきたい

26.7

20.3

24.7

23.8

34.2

4

細い内視鏡で検査してほしい

26.5

22.4

25.8

21.5

31.8

5

検査前の準備や前処置・麻酔や、検査中・検査後の一連の流れを知りたい

18.9

10.9

16.8

16.4

25.7

6

前処置における腸管洗浄剤(下剤)は、大量の液体タイプより錠剤タイプが良い

17.6

15.5

26.8

9.1

21.5

7

同性の医師に検査をしてもらいたい

15.8

4.1

16.1

5.9

30.3

8

自分の検査画像を見ながら検査を受けたい

15.1

19.1

21.7

10.4

14.8

9

自宅よりも病院で下剤を飲みたい

11.6

7.9

16.0

7.5

14.4

10

前処置の腸管洗浄剤(下剤)をいくつかの種類から選びたい

10.6

8.4

16.9

5.3

13.1

  全体より10ポイント以上高い   5ポイント以上高い   5ポイント以上低い   10ポイント以上低い

全体としては、検査自体の具体的な流れや鎮静剤の希望、検査中における対応事項が上位に入りました。検査未経験者では、特に女性において「検査自体の詳しい内容」や「検査中の対応事項」について“(予め)知っておきたい”という方が多くみられました。
女性未経験者は男性と比較して、検査前の準備から検査中・検査後にかけて幅広く検査に対する要望を持っていますが、「同性の医師に検査してもらいたい」も30.3%(5位)となり、男性とは大きな乖離がありました。 
なお、未経験者と比較し、経験者のほうが高くなった項目として「自分の検査画像を見ながら検査を受けたい」があり、経験者の方が男女ともに5ポイント以上高くなりました。これは、経験者は、内視鏡によって大腸の中を直接見ることができるメリットを身をもって体験されている方が多いからなのかもしれません。
 


患者さんの不安や負担を軽減していくために 

今回、内視鏡だけでなく腸管洗浄剤について、多くの方が不安や面倒さを感じていることが分かりましたが、一般の方で、良好な前処置にならない方には、基本的な食事制限を守っていない方も多く見受けられます。検査前日は「低脂肪・低繊維」の食事をとってもらうといった基本事項を、患者さんに確実に理解してもらうことが重要です。加えて、患者さんの体調や既往歴に応じた、最適な服用場所(自宅または医療機関)および、適切な洗浄剤選択によって、負担は確実に軽減していくことが期待できます。
そして、検査内容がよく知られていないことも、不安を膨らませる一因になっていることが見受けられました。検査自体の具体的な流れ(盲腸まで到達した後、内視鏡を徐々に抜きながら観察)、検査中の患者側の対応事項については、一般の方々にあまり知られておらず、そのことが不安を助長させていることもうかがえます。検査説明の際、患者さんに具体的な流れや注意事項を一言加えるだけで、不安軽減につながる可能性もあります。
今回、経験者/未経験者の違いだけでなく、男性・女性ごとに検査に対する不安や恥ずかしさ、その度合いが異なることが分かりました。これらを意識しつつ個々の患者さんに寄り添った検査対応を行うことが、がん検診における要精密検査者、および、診療時の検査推奨者の方々の、検査受診率向上に繋がっていくと考えます。是非ご参考いただけましたら幸いです。

※医療機関の広告は、医療法等の法令により広告できる内容が制限されています。詳しくは厚生労働省の「医療広告ガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/content/001304521.pdf)をご確認ください。

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胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書2024

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