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    胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書 コラム(第2回)

    クリニック様に向けた様々なコラム記事を掲載しております

世代別の内視鏡経験率と男女の差。

それぞれが医療機関を選ぶ際に重視することとは?

  • オリンパスは2024年、全国の40~60代 合計14,100人を対象に、がん検診や内視鏡検査に関する意識調査を実施し、その実態や課題について公開しました。今回、監修の小林望先生より、意識調査のトピックスを3回に分けて解説いただきます。第2回目の今回は、一般の方々の内視鏡経験率やその受診方法についてです。各世代の男女の違いにも触れながら、その実態に迫ります。
    *本記事では一部、意識調査白書未掲載情報も含みます。

    監修医師:国立がん研究センター中央病院 検診センター長 小林望先生


胃・大腸内視鏡検査の各世代経験率 男女間で一番乖離があった世代は? 

以下は、胃・大腸内視鏡検査の経験率を性別・年代別に示したグラフです。

 胃内視鏡検査、大腸内視鏡検査ともに、世代が上がるにつれて当然経験率も上がります。胃内視鏡検査は60代では男女ともに約7割の方が経験済みで、5割以上の方が2回以上経験していました。未経験の方は60代男性で約24%、女性では約32%でした。一方、大腸内視鏡検査は、胃内視鏡検査に比べて経験率が低く、60代男性の約5割、60代女性の約6割は一度も経験なしと回答しました。
 なお、各世代において男女間の違いを見ると、胃内視鏡は、40・50代では未経験率がほぼ同じだったのに対し、60代では男女で乖離が発生し、女性の未経験率が男性より8ポイント高くなりました。この、60代における男女間の乖離は大腸内視鏡においてもみられ、40・50代では男女の未経験率の差が約5ポイントだった一方、60代では12ポイントとなりました(60代未経験率 男性:47.2% 女性59.2%)。
この60代における男女差の一因として、がん検診受診率が男性の方が高いために、その結果として内視鏡検査を受ける機会も多いことが考えられますが、女性の方が内視鏡検査に対する不安が強いというデータもあり(次回解説)、複数の要因が影響している可能性があります。


胃がん検診における内視鏡選択率は5割超 

 厚生労働省の対策型胃がん検診では、2016年から内視鏡検査も選択肢に加わりましたが、今回の調査では、内視鏡検査を選んだ人がX線(バリウム)検査を上回る結果となりました(内視鏡検査:51.2% X線:45.6%)。内視鏡による胃がん検診が徐々に普及してきていることがうかがえます。
 また、内視鏡検査を選択する割合は、年代が上がるにつれて増えており、60代女性では約6割が内視鏡を選択していました。女性の方が内視鏡選択率が高い傾向は40~60代で共通しており、どの世代でも女性の方が男性よりも5ポイント以上多くなりました。40~60代では住民検診で女性の割合が高く、逆に職域検診では男性の割合が高いため、この受診機会の差が影響している可能性もあります。

 なお、内視鏡で受けた人、X線で受けた人それぞれに、「この検査方法が良いと思って受けたか?」を聞いたところ、内視鏡を受けた人の81.9%が「この検査方法が良いと思って受けた」と回答しました。その一方で、X線で受けた人の「この検査方法が良いと思って受けた」との回答は18.7%にとどまりました。このことから、内視鏡の受診機会が限られているためにX線を受診している人も一定数いたことが考えられます。
 また、今回の意識調査では、直近3年間に受けた各検査の満足度についても調査しています。胃内視鏡検査を受けて「満足」と回答した人は半数を超えており、胃内視鏡検査の満足度は比較的高いことがうかがえます。


経口と経鼻、割合はどれくらい? 

 直近3年の間に胃内視鏡検査を受けたことがある方に、経口・経鼻どちらで検査を受けたかを調査した結果、経口が約64%、経鼻が約36%でした。前回2021年の調査よりも経鼻挿入は増加傾向(+2.1ポイント)であり、検査の選択肢として定着してきているようです。ただ、胃内視鏡検査にあたり、経口・経鼻それぞれの受診に至った背景についてあわせて聞いたところ、「希望して鼻から」は24.4%でした。一番多かったのは「経口指定だったので、経口から(42.7%)」であり、経口指定で検査を受けるケースも依然として多いようです。

 なお、経口、経鼻それぞれ、男女各世代別に検査のつらさについて調査したところ(鎮静剤無しの条件で比較)、やはり経鼻のほうがつらさを感じる方は少ないものの、経口・経鼻ともに女性を中心につらさを感じる方は多く、特に40代女性では、経口で約5割、経鼻で約4割の方が、「非常につらかった」と回答しました。ただし、経口・経鼻ともに世代があがるにつれ、つらさを感じる方の割合は減少する傾向にあります。経鼻の場合、60代で「非常につらかった」と回答した割合は、男性9.8%、女性13.8%でした。


胃内視鏡(経口)・大腸内視鏡検査における 鎮静剤の使用状況 

 調査の結果、胃内視鏡検査(経口)では41.6%、大腸内視鏡検査では40.5%が「鎮静剤あり」で検査を受けていました。
男女で比較すると、胃内視鏡(経口)、大腸ともに全ての世代において、女性の方が鎮静剤を使用する人の割合が高くなりました。また、年代別でみると、経口と大腸でほぼ同様の傾向が見られました。男性は、経口・大腸ともに年代が上がるにつれて使用割合が下がる一方、女性は各世代でほぼ同等程度の使用割合であり、50代女性の使用割合が経口、大腸ともに一番高くなりました。若い世代の方がつらさを訴える方が多い傾向のためか、鎮静剤は比較的若い世代にも広がりをみせているようです。

 なお、鎮静剤は患者の緊張や不安を軽減する上で有効な手段ですが、使用する際はその安全性やリスク、注意事項などを十分に説明した上で、適切に提供することが求められます。

※対策型胃がん検診の場合の内視鏡検査については、 鎮痛薬 ・ 鎮静薬は原則使用しないこととされています 出典:対策型検診のための胃内視鏡検診マニュアル (2024年度版)

 


内視鏡検査を受ける医療機関を決める際、一般の方々が重視するポイントは? 

 最後に、一般の方々が内視鏡検査を受ける医療機関を選ぶ際、重視しているポイントについてご紹介します。内視鏡経験者が重視することの1位は「医療機関の規模や信頼性」(31.1%)でした。2位は「内視鏡専門医がいるか」(30.5%)で、経験者は医療機関や検査の質的部分に着目している方が多いようです。一方、未経験者の1位は「適切な価格帯と明確な価格表示」(36.7%)でした。
女性は全世代を通して、様々な観点をもとに医療機関を選ぶ傾向にありますが、60代女性は「内視鏡専門医がいるか」(39.1%)や「医師や看護師が丁寧に検査説明をしてくれるか」(37.1%)といった点を特に重視していました。また、40代女性は「価格」「利便性の良い場所」「予約のしやすさ」等、コストや検査に至るまでの流れも重要視している傾向があります。 各世代の方々に情報発信をされる際、これらの点もご参考いただけたらと思います。


 

内視鏡検査を受診する医療機関を決める際の重視点
< 直近3年以内受診者全体のスコアを基準に降順 >

直近3年
経験
N=5,885

過去内視鏡
未経験
N=5,105

全体

男性

女性

40代

50代

60代

40代

50代

60代

1

医療機関の規模や信頼性

31.1

25.2

28.9

20.3

24.7

29.5

28.0

32.6

38.4

2

内視鏡専門医がいるか

30.5

20.6

26.3

17.4

20.6

30.3

22.2

28.0

39.1

3

利便性の良い場所にあるか

30.1

25.0

28.5

22.3

23.2

27.1

32.1

32.9

33.3

4

適切な価格帯と明確な価格表示

28.9

36.7

32.9

29.2

30.3

29.6

39.8

35.3

33.1

5

医師や看護師が、丁寧に検査の説明をしてくれるかどうか

28.0

23.7

25.8

15.3

17.4

22.6

30.3

32.0

37.1

6

予約のしやすさ

27.7

23.1

25.8

20.3

19.7

23.4

32.0

27.7

31.5

7

鎮静剤を希望できるか

22.7

15.2

19.0

12.6

11.4

14.9

25.9

24.6

24.6

8

最新の医療機器・設備が整っていること

22.4

16.8

20.4

14.7

16.5

22.5

19.3

21.9

27.5

9

検査実績数の多さ

21.7

17.7

19.9

15.9

16.6

19.4

20.1

22.2

25.0

10

医療機関の綺麗さ・清潔さ

21.6

17.4

19.6

14.1

14.8

15.6

23.2

24.4

25.3

11

口コミや評判が良いこと (医師について)

21.3

23.2

22.6

15.5

16.4

17.4

28.9

28.8

28.3

12

前処置から検査、 検査後の流れがイメージできるかどうか

13.4

14.4

13.5

10.3

9.6

9.8

18.3

16.8

16.1

13

口コミや評判が良いこと (医師以外の看護師やスタッフについて)

10.2

14.4

12.2

8.8

8.3

8.3

17.1

17.0

13.9

14

複数の検査内容を同時に受けることができるコースがあるか

9.7

7.3

8.6

6.9

6.3

6.8

10.0

10.1

11.4

15

女性医師が担当か

4.3

12.8

8.0

2.6

1.4

0.8

16.7

14.5

11.8

  全体より10ポイント以上高い   5ポイント以上高い   5ポイント以上低い   10ポイント以上低い

※医療機関の広告は、医療法等の法令により広告できる内容が制限されています。詳しくは厚生労働省の「医療広告ガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/content/001304521.pdf)をご確認ください。

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胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書2024

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