医療用画像管理システム(以下、PACS)に一元化しながら内視鏡検査に特化したレポート作成や業務運用が可能なQUEV DICOM Enhance(以下、Q.D.E)を導入
厚生中央病院(東京都目黒区 一般病床257床/地域包括ケア病棟45床)は2021年に、従来のSolemio ENDOに替えて内視鏡検査画像の保管を医療用画像管理システム(以下、PACS)に一元化しながら内視鏡検査に特化したレポート作成や業務運用が可能なQUEV DICOM Enhance(以下、Q.D.E)を導入しています。消化器病センター(内科)統括部長の根本夕夏子先生にQ.D.E導入のメリットについて、診療放射線技師の隅田真光様に院内システムの連携構築のあり方についてお話いただきました。(インタビューにご対応いただいた医療従事者のみなさまの所属・肩書は2023年12月時点のものになります。)
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Q.D.E導入による業務効率化と
「働き方改革」推進
消化器病センター(内科)統括部長 根本 夕夏子 先生
質の高い所見レポートを短時間で
作成できることで「働き方改革」を後押し
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消化器内科医は全員が内視鏡診療に携わっており、消化器病センターでは3つの内視鏡室と透視室において、診療を行っています。新型コロナ感染禍から回復しつつあった2022年には上部消化管内視鏡検査1,836件・治療142件、下部消化管内視鏡検査1,521件・治療1,066件の診療実績があります。肝胆膵の専門家を迎えた2023年からは肝胆膵の内視鏡検査・治療も本格的に開始しており、また、近隣施設と連携しての救急受け入れなども行っています。
Q.D.Eの導入にあたっては診療放射線技師の隅田さんにアドバイスしてもらいながら進めました。導入前は狭い机に何台ものPCとモニタを置いてPACSと切り替えながら表示していたのですが、Q.D.E導入時に電子カルテ・PACSでの内視鏡検査の画像・レポート参照を可能にしたことで運用も机周りもすっきりしました。内視鏡検査画像がPACSで一元管理されたことで、管理するサーバの数を削減できたのも大きなメリットです。 -
従来から使い慣れていたSolemio ENDOと同じく、Q.D.Eでも階層化された用語をマウス操作で選択し入力する仕様になっているので、詳細なレポートをストレスなく迅速に作成できています。実際に内視鏡施行医は検査の合間の数分で所見レポートを作成しています。また、Q.D.Eが提示してくれる用語の選択肢のきめ細かさには私自身も助けられています。自身でのテキスト入力も可能であり、内視鏡施行医各自が検査・治療に合わせた柔軟なレポート入力ができる点も適切なレポート作成につながっています。
2024年4月からいよいよ医師の働き方改革の新制度が施行されます。Q.D.Eで質の高い所見レポートを短時間で作成できることは働き方改革を後押ししてくれていると感じています。
運用にマッチした機能を十分に使いこなすことで日常診療に貢献
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年間検査数の集計や病院HP掲載あるいは学会報告用にまとまったデータが欲しいときにもすぐに集計して項目に応じてソートでき、統計解析してくれることも大きなメリットです。予定した検査オーダが検査中に処置を要する検査に変更になった場合でも、所見に処置情報を入力することで処置件数が集計結果に反映できる点にも安心しています。また、Q.D.Eの導入によって始まったバーコード読み込みによる患者さん情報の入力や、検査使用スコープと洗浄スコープの履歴を紐づけるQ.D.Eの洗浄履歴管理機能の利用が医療ミス防止に貢献していると、看護師さんからも安心の声が届いています。市中病院である当院ではQ.D.Eに搭載されたすべての機能をフルに使っているわけではありませんが、このように運用にマッチした機能を十分に使いこなして日常診療に役立てています。
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厚生中央病院の内視鏡検査室
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Q.D.E導入にあたっての
院内システムとの連携を振り返って
診療放射線技師 隅田 真光 様
現場のニーズ・課題・運用を十分に把握したうえで連携を構築
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2021年のQ.D.E導入時に、院内システムと連携してのシステム構築を進めました。これにあたって消化器内科の先生方からは「レポート入力の運用のしやすさの点でオリンパスのシステムの導入を前提として検討してほしい」とのご希望がありました。一方、PACSや部門システムごとのサーバが増えるとランニングとメンテナンスのコストが上昇することから、システム構築ではサーバの乱立を避けることも重要な検討事項でした。この点においてPACSで検査画像を一元管理できるQ.D.Eが当院の課題にマッチしたシステムだと考え、具体的な検討を進めました。
PACSをデータボックス的な位置づけとする大枠を構想し、内視鏡検査画像もPACSで一元管理することを消化器内科の先生方に説明し、了解をいただけたことが導入にあたっての大きなポイントだったと思います。長年院内のシステム検討に携わってきたこともあり、それぞれのシステムベンダーが把握できない運用面の注意点については「こういう形になることで、この部分の運用はちょっと難しくなるかもしれません」と想像できる範囲で伝えました。これは院内のシステム検討担当者として重要な役割だったと考えています。 -
Q.D.E、PACSそれぞれのシステムの標準的な仕様で何ができるのか、オリンパスとしてどういった仕様検討ができるのかを情報収集したうえで、オリンパス並びに他のシステムベンダーと協力してシステム構築しました。たとえばQ.D.Eで入力した検査レポートがPACSですぐに参照できるようにカスタマイズするなどして、上手く当院にはまるように組み上げていきました。また、PACSで取り入れていた、患者カルテのデータを閉じたときに表示画像も閉じる動作をQ.D.Eの運用にも取り入れ、モニタ上に前の患者さんの画像が残っていることで起きてしまう画像の取り違え事故を防いでいます。
また、当院は検診部門での内視鏡検査も多数実施しており、診療部門と検診部門の患者IDが統一されていることで、診療部門、検診部門いずれの検査もQ.D.Eで所見レポートの運用ができています。
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医療安全を前提としたシステム構築と運用
昨今は業務の効率化を前提としたシステム導入がフィーチャーされていますが、システム導入はヒューマンエラーを低減させる重要な要素でもあると考え、安全性を重視したシステム検討を行っています。時に人間側の操作がひと手間多くなったとしても、ミスを防ぐことができるシステム構築と運用設計を心がけています。実際はクリックが一つ増える程度のケースがほとんどであり、当院の先生方にはシステム運用の安全性をご理解いただいて日々の業務にあたっていただいています。
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画像の規格統一を図ることでシステム導入を円滑に
従来の部門システムに蓄積していた内視鏡画像も含め、内視鏡画像をDICOM規格でPACSに一元管理することで画像の取り扱い運用も統一され、日常業務がよりスムーズになりました。既存の院内システムにQ.D.Eを上手く統合できたことで当院にとって有用な環境を創り出すことができたのであり、オリンパスには当院の事情に合わせたきめ細かい対応を行ってもらったと思っています。
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