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    胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書 コラム(第1回)

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胃・大腸がん精密検査。

7割超が「受診に効果的」と回答したメッセージとは?

  •  オリンパスは2024年、全国の40~60代 合計14,100人を対象に、がん検診や内視鏡検査に関する意識調査を実施し、その実態や課題について公開しました。今回、監修の小林望先生より、意識調査のトピックスを3回に分けて解説いただきます。第1回目は、胃・大腸がん検診、および精密検査の受診率についてです。

    監修医師:国立がん研究センター中央病院 検診センター長 小林望先生


検診は症状がない人が対象。そのことが浸透していない現状 

 日本人におけるがん罹患数は、大腸がんが第1位、胃がんが第3位です。しかし、意識調査によると、胃がん検診の受診率は37.4%*、大腸がん検診の受診率は28.8%*にとどまっています。この低い受診率の背景にある「検診を受けなかった理由」として、最も多かったのが「特に自覚症状もないから」でした。 早期がんは、症状が見られないケースが多いため、がん検診は、自覚症状の無い人が対象となりますが、この前提自体が、まだ十分浸透していないことが分かりました。

  • 胃がん検診を「受けなかった」理由
    (N=5,884)

    (%)

    1

    特に自覚症状もないから

    31.5

    2

    バリウムを飲むのが嫌だから

    22.0

    3

    検査費用がかかるから

    20.3

    4

    内視鏡検査(胃カメラ)をするのが嫌だから

    19.9

    5

    健康診断や血液検査など、定期的に検査しているから

    15.6

  • 大腸がん検診を「受けなかった」理由
    (N=10,039)

    (%)

    1

    特に自覚症状もないから

    26.1

    2

    検査費用がかかるから

    19.7

    3

    内視鏡検査(大腸カメラ)をするのが嫌だから

    18.1

    4

    検査を受けるのがつらい、いやだから

    14.9

    5

    健康診断や血液検査など、定期的に検査しているから

    12.5

出典: 胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書2024


胃・大腸がんの症状が続いても、医療機関受診率は4割未満 

 がん検診は症状の無い方が対象であり、既に症状が続く方は早めに医療機関を受診していただく必要があります。しかし、胃がん・大腸がんの代表的な症状は、日常生活でもそれほど珍しくない症状(胃痛、腹痛、便秘や下痢など)も多いため、症状が続いたとしても、医療機関を受診する人の割合が低いことがわかりました。 比較的分かりやすい自覚症状である「黒い便や血便」といった症状でも、医療機関受診率は4割未満という状況であり、「便秘や下痢が頻繁に起こる」「便が細くなったり残便感を感じる」「貧血による立ちくらみ」といった大腸がんの代表的症状に関しては、いずれも2割に届きませんでした。 医療機関の受診を躊躇する要因は様々ですが、胃がんや大腸がんの代表的症状が、一般の方々にまだ十分認識されていないことも一因ではないでしょうか。

 

<2022年から2023年の2年間で、繰り返したり、続くことがあった症状と医療機関受診割合>

出典: 胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書2024


胃・大腸がん検診ともに、精密検査受診率が低いことが大きな課題。では、受診に前向きになる情報とは? 

 がん検診受診率の低さに加え、さらに課題となっているのが、精密検査の受診率の低さです。胃がん検診陽性者の精密検査受診率は84.4%*、大腸がんについては69.9%*であり、いずれも目標の90%を下回っています。 *出典:令和4年度 地域保健・健康増進事業報告の概況

そこで、今回の意識調査で「精密検査受診に前向きになる情報は何か」を聞いたところ、最も多かったのが、「精密検査にかかる費用の明示」でした。費用が明確に提示されず、それが受診にあたり一つのハードルになっていることが想像されます。一般の方々の中には、精密検査が保険適用となること自体、知らない方も散見されます。おおよその目安をあわせてお伝えするのも良いでしょう。 また、次に多かったのは、「精密検査の必要性や意義」でした。「精密検査を受けるメリット/受けないリスク」がまだ十分に理解されていないことがうかがえました。

精密検査受診に前向きになると思える情報
(N=14,100)

(%)

1

精密検査にかかる費用の明示

41.3

2

精密検査の必要性や意義

38.0

3

早期発見した場合と、発見が遅れた場合の病気の進行度合いの違いの実例

28.5

4

受診可能な医療機関の情報

27.8

5

事前準備や検査前の麻酔なども含めた精密検査の流れ

22.4

出典: 胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書2024


胃・大腸がん精密検査。7割超が「受診に効果的」と回答したメッセージとは? 

 調査ではさらに、「精密検査の必要性や意義」について、深掘り質問をしています。精密検査受診にあたりどのようなメッセージが響くのか、効果が期待されるメッセージをピックアップし、検証を行いました。結果として、胃がん・大腸がん精密検査共通で、最も効果的だったのが「早期発見・早期治療で98%以上が治る」というメッセージでした。これは75%以上の方が「効果的」と回答しています。今回の意識調査では、「胃・大腸がんは早期発見・治療による治癒率が90%以上」という事実を理解しているのは、3割未満という結果でした。早期発見の重要性がまだまだ認識されていない一方、逆にこれらがしっかりと認識されれば、今後受診率が向上していくことも期待できます。 なお、大腸がんに関しては、「精密検査を受けずに、後で大腸がんが判明した場合、精密検査受診者に比べて大腸がん死亡リスクが約4倍高まる」というメッセージも約7割が「効果的」と回答しました。 このように、数字で具体的なメリットやリスクを示したメッセージが特に効果的であることが分かりました。 がん検診や精密検査の意義をお伝えされる際、ぜひご参考いただけたらと思います。

<精密検査を受けようと思える効果的なメッセージ>

※医療機関の広告は、医療法等の法令により広告できる内容が制限されています。詳しくは厚生労働省の「医療広告ガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/content/001304521.pdf)をご確認ください。

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胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書2024

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